アプリでがん患者問診 富山大付属病院、次回通院時の診療に反映
富山大付属病院の臨床研究開発推進センター(富山市杉谷)は10日、がん患者がスマートフォンの専用アプリを使った問診で抗がん剤治療後の身体・精神状態をチェックし、次回通院時の診療に反映させる取り組みをスタートさせたと発表した。患者の負担軽減や医療関係者の業務の効率化を図る。10月から2026年3月末までの間、同病院に通院する200人に行う。 同病院によると、これまでは、点滴による抗がん剤治療を受けた通院患者に、治療後の痛みなどを確認する質問書を配布し、次の来院時に提出してもらっていた。だが、患者の書き忘れがあったほか、資料のデータ化といった作業時間の短縮化が求められていた。 アプリはIPOSと呼ばれる評価尺度を用い、患者の身体、精神面の状態を5段階で調べる。対象患者はスマートフォンのアプリをインストールし、化学療法の治療スケジュールに合わせて質問に答える。次回の通院時に、主治医が回答結果を基に診療に反映する。
今回の取り組みは、遠隔で操作できるツールを使った「分散型臨床試験」の一種で、同センターが行うのは初めて。県外など病院から離れた場所にいる患者らを対象にした研究もしやすくなることから、今後は他の分野での臨床試験にも拡大したい考えだ。 同病院で会見した林篤志院長は「今後さまざまな研究が行われる上で大きな一歩になる」と話した。 今回の研究は、県内の医薬品分野の産学官でつくる「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムの支援を受けて取り組んでいる。