芸人→最弱プロレスラーの異色経歴で…なぜ下関に“ベイスターズの店”を? あるファンの数奇な人生「若い子は下関で生まれた球団だと知らないんです」
ベイスターズを追いかけ上京…芸人→プロレスラーの道へ
地元の高校を卒業したヤングはベイスターズを追いかけるようにして上京した。 芸人になるため芸能事務所の預かりとなったが、ひょんなことから西口プロレスの手伝いをすることになった。最初こそリングに上がることだけはと、断固拒絶していたが、ある日、先輩レスラー「ラブセクシーローズ」からセコンドとして声を掛けられ、新たな人生を歩むことを決意する。 ハタチの若者。そして、「(ボビー・)ローズの次は(アーニー・)ヤングだろう」というイカれたベイスターズ的思考で、西口プロレス所属レスラー「ラブセクシーヤング」が誕生する。 しかし、想定外のことばかりだった。 なぜ、芸人になったはずが、プロレスのまねごとをやっているのか。そして、あんなに強かったベイスターズはなぜ見る影もなく弱くなってしまったのか。聞いていた話と違う。 憧れの選手たちはみんないなくなり、聖地・横浜スタジアムには閑古鳥が鳴いていた。それでも足繁くハマスタに通ったヤングは、そこでひとつのことを発見する。 「ガラガラの外野席とかで観ていると、熟練のファンの方に声を掛けられるんですよね。大洋グッズをバチバチにまとったおじさんや、98年を生で観たことを雄弁に語るお兄さんとか。 僕からすれば憧れの人たちですから、『すごいっすね』って話を聞いているんですが、その人たちは僕が“下関の出身”とわかった途端に、目をキラッキラに輝かせて『君は下関なの!? 』と身を乗り出してくるんです。それで、初めて知るんですね。何もないと思っていた下関を、ベイスターズの聖地として見てくれる人たちがたくさんいるってことを」 だが、あの優勝から時間が経つにつれて、下関からベイスターズのニオイは消えて行った。それはヤングが帰省する度に感じていたことでもあり、下関の町から「マルハ」の文字が消えていくと共に、町はどんどん活気をなくし、かつてのベイスターズファンは表通りにも姿を見せなくなった。
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