「”南海トラフ地震臨時情報”は武器だ」 今すべきこと 九大・杉山准教授に聞いた
■「危機感や実感を持ちにくいが発生の可能性は高くなった」 九州大学・杉山高志 准教授(防災心理学) 「臨時情報巨大地震注意の場合には巨大地震警戒のときに比べて目立った被害が起きていない可能性が極めて高いです。 多くの皆さんが危機感や、あるいはその情報が出たという実感を持ちにくい状況が続きます。しかしながら、平時に比べて発生する可能性が高くなったということは紛れもない事実ですので、それに向けた事前の対応を十分に備えていく必要があります」 東日本大震災の2日前にマグニチュード7クラスの地震が発生していた事例もありますが、巨大地震が1週間以内に発生する頻度は、「巨大地震注意」で数百回に1回、「巨大地震警戒」で十数回に1回とされます。 杉山准教授は「地震が起きない可能性の方が高い」としたうえで、冷静な対応を呼びかけます。 九州大学・杉山高志 准教授(防災心理学) 「臨時情報は普段の生活を見直すきっかけとして捉えるのが正しい向き合い方ではないかと思います。すなわち臨時情報自体はここは十分注意すべきことですが、予知情報ではありません。あくまで臨時情報は可能性が高くなったということを示す参考の情報です。なので臨時情報をきっかけにして普段の生活を見直すことはもちろん重要ですが、それにばかり過信してパニック状態になることは本来的な趣旨では異なるものになります」 ■人類が持っている重要な武器 「参考にすべきではあるけれど、予知情報ではない」という一見、分かりにくい南海トラフ地震臨時情報。 杉山准教授は、「ひとつの武器」という視点で捉えてほしい、話します。 九州大学・杉山高志 准教授(防災心理学) 「一番大事なところは捉えようがない地震の発生に対して何らかの武器を持つというそういう視点が大きく作用しています。 今現在地震が発生することを予知することは不可能だというふうに言われています。 しかしながら、全く手立てがないかというとそうではありません。臨時情報も実は私達人類が持っている大事な武器のひとつなのです。」
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