支えているのは福島の力 音楽家・エンジニア 草間敬さん(福島市出身) ライブに欠かせぬ音職人
人気アーティスト「SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)」のライブに欠かせない存在だ。福島市出身の音楽家・エンジニアの草間敬さん(57)は舞台袖で、コンピューターなどを駆使し、生演奏以外に必要な音を曲に乗せてステージを盛り上げる。 ライブ活動だけでなく、これまでの30年間で「THE MAD CAPSULE MARKETS」「GLAY」「くるり」「RIZE」「Def Tech」「Aqua Times」「Alexandros」「MAN WITH A MISSION」ら国内の第一線で活躍するミュージシャンの約500曲の作編曲などに携わってきた。「素晴らしいアーティストたちと音楽を作り上げていくのが最高」と自らの仕事の魅力を語る。 音楽との出会いは半世紀近く前にさかのぼる。11歳離れた姉の影響で、小学生の頃からイエローマジックオーケストラ(YMO)など国内のミュージシャンのほか、イーグルスやポリスなどの洋楽も自然に耳にしていた。福島大付属中時代にはバンドでキーボードを担当し文化祭のステージに立った。「中学から音楽ばかりだった。高校にジャズ研があったので、そこでさらに深く音楽と向き合えた」と原点を振り返る。
故郷を離れて都内の大学に進み、プロの道を意識するようになった。所属していた音楽サークルが本気でプロを目指すメンバーばかりで、その影響を受けた。レコーディングスタジオ会社に就職したが、バブル崩壊により2年で退職した。それでも夢をあきらめなかった。自らの特技を生かせる音楽関係の仕事をしたいと思い、フリーの立場でさまざまなことに挑戦し続けてきた。 現在は金子ノブアキさんらとのバンド「RED ORCA」などでミュージシャンとして活動しながら、都内の音楽学校の講師として後進の育成にも力を注ぐ。「福島の若いバンドにもかっこいいと思う人が結構いる。東日本大震災や新型コロナという稀有(けう)な体験で得られた感覚を芸術や社会活動に生かしてもらえたら」と期待を寄せている。 くさま・けい 福島市出身。福島高、成蹊大工学部電気電子工学科卒。美学校講師。福島市の実家を個人的な音楽制作スペースとして改築した。東京都在住。57歳。