若年性認知症になっても「働きたい」 就労や地域貢献ができる場が広がる…相談窓口も
有償ボランティア
介護保険の通所施設（デイサービス）を利用しながら、有償ボランティアとして地域で活動できるところもある。 横浜市で、主に若年性認知症の人が通う「GrASP」は、地元の企業など約10社から、チラシのポスティングや子どものサッカーチームの用具管理など、様々な仕事を受注しており、利用者が職員と一緒に出かけて働く。 約3年半前に診断された男性（60）は、ちまき作りや弁当の配達を担当する。謝礼は1日100～1000円。元の職場では、できないことが増え、不安で落ち込むこともあったが、「一緒に働く仲間ができ、とても楽しい」と語る。 提携先の企業から感謝の声が寄せられており、代表の山崎健一さんは「一人一人に合わせたサポートや仕事があれば活躍できる」と強調する。 当事者の中には、高齢者が過ごすデイサービスには行きにくい人もいる。厚生労働省は、こうした社会参加型の活動の普及を呼びかけている。
支援センター 全国から電話相談
認知症介護研究・研修大府センター（愛知県大府市）が運営する「全国若年性認知症支援センター」のコールセンターでは、全国から相談を受け付けている。受診先や生活、経済面での支援制度を紹介し、各地の若年性認知症支援コーディネーターにつなぐ。 コーディネーターは都道府県などに配置されており、本人や家族の相談に乗る。就労先や病院などと連携し、配置転換や業務内容の見直しなどの調整を担うほか、障害福祉や介護保険のサービス利用も支援する。 認知症介護研究・研修大府センターの鷲見幸彦センター長は「ゆっくりと変化する症状や能力に応じ、その時に本人ができることに合わせたソフトランディング（軟着陸）の視点でサポートすることが大切だ」と話す。 コールセンターは0800・100・2707で、月～土曜日の午前10時～午後3時（水曜は午後7時まで）。（2024年9月3日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です）
