最も飛ばないプロ・杉原輝雄「ポーカーフェイスは、その後のプレーでミスを取り返してくれるかもしれんエネルギー源や」
「ポーカーフェイス」による勝負強さの実例
1打差で競り合うような状況というのは、マッチプレーに似ていると思う。杉原プロの「ポーカーフェイス」による勝負強さは、マッチプレーで目の前の相手と、1対1の対戦をするときにも効果的であることは間違いない。 私は、68歳からクラブ競技に復帰したが、70歳になった今年、初めてシニア選手権の予選を通過できた。60名ぐらいの参加者の中で16位までが通過という狭き門なこともあって、ボーダーライン近辺ではあったが、過去2年は僅差で予選落ちしていた。自慢話をするつもりはないのだが、今年はポーカーフェイスが役立ったいい実例と言えるものだったので、この時のことを報告させていただきたい。 私は今年こそ予選ラウンドを通過したいという意気込みのもと、「杉原流ポーカーフェイス作戦」でいこうと考えていた。すると、ラッキーなことに朝一番からバーディが来た。普段なら大喜びしてしまうところだが、今回は1番ホールからポーカーフェイスを決め込んだ。 それが功を奏したのか、3番と7番でもパットが入ってバーディ。その時点で3アンダーと望外の好プレーとなった。ところが、あまりにもできすぎた展開に動揺してしまったのか、8番ではグリーンサイドのバンカーに落としボギー。それでも最初の9ホールを34と、自分でもビックリの好スコアを出せた。 次のハーフは、2連続パーで始まり好調さが続きそうだと思ったが、それがよくなかった。12番から17番まで、なんと6連続ボギーを喫してしまったのだ。その6ホールでは、ティーショットが曲がったり、スリーパットしたり、いいショットなのにキックが不運だったり、アプローチをミスしたりと、やることなすことがうまくいかなかった。 こういう時間帯はとても不安になり苦しいものだが、とにかく杉原流のポーカーフェイスを貫き通した。18番は、何とかワンピンのバーディチャンスにつけたが、ダウンヒルだったのでスリーパットしないよう距離感を優先した結果パーとなった。このハーフは、42と崩れてしまったが、それでも最低ラインは確保できたのでヨシとした。 予選ラウンドは27ホールなので、昼食後に最後の9ホールをプレーする。その出だしは、2連続ボギーとまたもや苦しい展開だった。それでも、平然とポーカーフェイスを続けていたら、キャディさんが「ミスしたりボギーになったりしても怒ったりしないんですね」と声を掛けてくれた。 自分が平然さを保つように努力していることを認められたような気がして、その後は落ち着いたプレーをすることができた。そして、最後のハーフは39と無難にまとめられた。結果、トータル115S、5位での予選通過となった。杉原流ポーカーフェイスが心の乱れを抑えてくれて、終日平坦な心境でプレーできた賜物だと感じている。