GT3 RSはすべてが筋肉でできてるようなクルマだ！

ポルシェ911GT3 RSに一般道で試乗！　果たしてその結果は？

「ポルシェでスポーツしようぜ」という編集長ムラカミの鶴の一声で集められた、最新のとびっきりスペシャルな3台のポルシェ、911GT3 RS、718ケイマンGT4 RS、911ダカール。春の雨の中で乗ったエンジン編集部の面々があらためて感じたこととは。今回は、その1として公道が走れるレーシングカーとも言われる911GT3 RSを取り上げる。 【写真２０枚】911GT3 RS、ケイマンGT4 RS、911ダカール　 最新ポルシェ3台の詳細画像を見る ◆こんなの一般道で乗れるのか？ 村上　“クルマでスポーツしようぜ”っていう特集をやると決めた時、実は初めから「ポルシェは絶対に外せないな」って思っていた。先月も911カレラが出たばかり……という声もあったけど、いやいやとんでもない、ポルシェは毎月やってもいいんだし、とりわけこの特集のテーマには絶対欠かせない。ましてや、911GT3 RSとダカールと718ケイマンGT4 RSという、3台の特別なモデルの広報車が揃っているなんて、こんな千載一遇の機会を逃す手はないでしょう!! 上田　（笑）。異論はないですが、晴れの日に乗りたかったなぁ……。 村上　確かに当日は雨だったけど、こういうクルマはまず乗ることが大事。さらにいえばクルマに乗ろう、スポーツしようと考える精神が大事。この3台は最適……いや最適な上に贅沢。贅沢中の贅沢だよ。 上田　以前GT3 RSに木更津のポルシェ・エクスペリエンス・センターで乗った時は、こんなの一般道で乗れるのか、と思ったんですが、今回土砂降りの中で意を決して乗ったら、ぜんぜん普通に走らせられた。もちろん緊張の度合いはものすごく高いんですが。ほかの2台も含め、ポルシェのスポーツカーの幅広さをあらためて思い知った感じですね。 村山　それに、けっこう3台のキャラクターが雨でより分かりやすくなった気がしました。 村上　今回のテーマはレースをしましょう、という意味じゃない。スポーツカーを、あるいはスポーツできるクルマを楽しもう、というもの。ポルシェがスポーツカーであると同時に実用車でもあることも、今回の特集にふさわしい理由だよ。 上田　欲をいえば、この3台に加えて、例えばMTの911カレラTがあったら、その幅広さがもっと理解できたかも知れません。 村上　マカンやカイエンを持ってきてもそう感じたかも知れない。ポルシェは本当に幅が広い。それでいてビシッと筋が通っている。その中でもトップレンジのクルマを以前の特集では“極北”という言葉で表現したけど、今回も極北に近いクルマに試乗できたわけですよ。ただ、ダカールがほかの2台と同じ方向なのかは議論があると思うけど。 上田　GT3 RSは極北というより、極々北くらいな気もします。 村上　GT4 RSが極北ならGT3 RSはさらに北ということだね。確かにそういう感じはする。 村山　北極点を越えています（笑）。 村上　僕はGT3 RSは英シルバーストーンと木更津で乗っただけで、公道で乗るのは初めてだった。やっぱり身構えて乗ったんだけど、普通に乗れてしまうから、あらためて驚愕した。レーシングカーかそれ以上の性能を持っているこういうクルマが、普通に一般車に交じって走れること自体、ほとんど奇跡。 上田　正直、ダカールより自在感、一体感はあると思いましたよ。 村上　こういうクルマを欲する人は“エブリデイ・スポーツ”志向なんだよね。ほんの少しの距離の移動でもスポーツ感覚を求めている。トップ・アスリートが普段から常に感覚を研ぎ澄ましているようなもの。 上田　スポーツしている時の一番の快楽って、タイムの向上とか点数を取ることより、自分の思ったとおりに身体が動くことじゃないですか。自分の意思とGT3 RSとの関係性もそういうもののような気がする。特にステアリングの反応の良さ！　あらためて感心しましたよ。 村上　この世代からフロント・サスペンションがダブルウィッシュボーンになっているのは大きいよね。キャパシティがすごく広がって、まさに手に取るように鮮明にクルマの動きが感じられる。GT3 RSって、すべてが筋肉でできてるようなクルマだから、1つ1つの筋肉を意識してちゃんと動かさないと動いてくれないけどね。でも、ちゃんと動かした時には、本当に素晴らしい動きを見せてくれる。リアはもちろんフロントの床下にも設えられた電動のウイングとか、驚愕することもいっぱいある。スポーツするためのクルマづくりという意味では、ベースのGT3と同じベクトルの上にあるけれど、ちゃんとRSと名乗るのにふさわしいものにしてある。 ◆「やばい、もうやめとこう、と思いながらつい踏んじゃう」という718ケイマンGT4に一同戦慄！　この続きは【ポルシェでスポーツ、その2】で！ 話す人＝村上 政＋上田純一郎（まとめも）＋村山雄哉（すべてENGINE編集部）　写真＝郡 大二郎 ■911 GT3 RS 駆動方式　リア縦置エンジン後輪駆動　　 全長×全幅×全高　4572×1900×1322mm　　 ホイールベース　2457mm　　 車両重量　1450kg　　 エンジン形式　水冷水平対向6気筒DOHCターボ　　 排気量　2961cc　　 ボア×ストローク　91×76.4mm　　 最高出力　525ps/8500rpm　　 最大トルク　465Nm/6300rpm　　 トランスミッション　デュアルクラッチ式8段自動MT　　 サスペンション（前）　ダブルウィッシュボーン　　 サスペンション（後）　マルチリンク　　 タイヤ・サイズ（前後）　275/35ZR20／335/30ZR21　　 ブレーキ（前/後）　通気冷却式ディスク　　 車両本体価格　3378万円　　 （ENGINE2024年7月号）