懸案「石化関連」、構造改革で成果…住友化学が成長軌道へ回帰急ぐ
住友化学が構造改革を弾みに本格的な成長軌道への回帰を急ぐ。石油化学関連事業や子会社の住友ファーマに関わる再興戦略や、農薬や電子材料などで取り組む成長戦略が着々と進む。事業の再構築が奏功し、足元では2025年3月期連結業績見通しの営業利益や当期利益を上方修正するなどの成果も出てきた。26年3月期には一過性の利益を含まずにコア営業利益1000億円を目指しつつ、中長期的な事業成長につなげたい考えだ。 【一覧表】住友化学の決算詳細 「再興戦略にめどをつけて、成長戦略にできるだけ早く完全にシフトしていきたい」。10月30日会見した住友化学の岩田圭一社長は、こう意気込みを示した。 まず、懸案だった石化関連事業と住友ファーマで構造改革の成果が出てきた。サウジアラビアの石化合弁会社ペトロ・ラービグの株式一部売却に加え、シンガポールでアクリル樹脂原料「MMAモノマー」などの生産能力を大幅に削減。シンガポールの施策で25年3月期の下期にコスト削減効果を見込む。住友ファーマは前立腺がん治療薬など基幹3製品の販売が堅調なほか、販管費・研究開発費の削減も進む。 一方、成長戦略も推進。天然物由来の農薬など「バイオラショナル」での欧州市場の開拓に注力するほか、低分子医薬品の開発製造受託(CDMO)などでも成長を見込む。 石化関連ではケミカルリサイクル技術の30年代前半の事業化を目指す。環境負荷低減技術を生かし、「生産能力の削減だけでなく、脱炭素の新しいコンビナートについて詰めないといけない」(岩田社長)。 同日、25年3月期連結業績予想(国際会計基準)の営業利益と当期利益を上方修正した。事業再構築の効果などを織り込んだ。