坂東龍汰、「100円の重み」を理解した下積み時代。夢をつかんだ今抱く俳優としてのポリシーは?
上京資金集めバイトで100円の重さ知る
──坂東さんはコミュニケーション能力も高い印象を受けました! 僕は基本的に人間が大好きなんです。初めて会った人の人生を聞きたいという欲求があって、グイグイ行き過ぎて共演者を驚かせてしまうときもあります。隠しきれない人に対する興味でしょうか(笑)。でも、それによって生まれる化学反応があると僕は信じています。学生時代にニュージーランドに留学した経験から、異国の地で言葉の通じない人と仲良くするのも好きです。海外の方々のマインドには、今そこに見えている人をそのまま受け入れてくれるような感覚があり、それが僕としては心地いい。真剣に海外移住を考えたこともあります。学生時代は、俳優になるならば絶対にハリウッドだろうと(笑)。今も海外での活動の可能性は捨てていないので、素晴らしいご縁があれば海外作品に出演してみたいです。 ──しっかりと下積みの苦労も経験されていますもんね! そうですね(笑)。確かに2年くらい前まで古くて狭いアパートに住んでいました。遊びに来た友だちから驚かれたりして(笑)。北海道から上京して俳優になるために、資金集めとして18歳から20歳くらいまで旅館の仲居のアルバイトをしていました。この2年間のアルバイト経験はカルチャーショックの連続でした。それこそシュタイナー教育というエデンの園みたいな守られた空間で自由奔放に生きてきたわけですから、アルバイトでは社会人としての基本を叩きこまれました。敬語も使えなかったので周囲からは「なにコイツ」と思われるのは当然で、かなり厳しく指導されました。でもそれは今後上京して役者をやる上では絶対に乗り越えなければいけない壁だと思っていました。ここで挫けて変われなかったら、社会では絶対に生きていけないだろうと。それだけ僕は野生的過ぎました(笑)。役者業とは大勢の人との共同作業でもあるわけですから、旅館バイト経験がなければ僕は俳優として即干されていたと思います。あの2年間のアルバイトの日々は人生のターニングポイントだと言えます。 ──10代後半は社会を知らず、生意気さや甘さは誰しもが持つものです。そこに胡坐をかかず、自覚的に変化していったのは立派です! 高校卒業くらいの年齢だと、自分の生活にどれくらいのお金がかかり、どれくらい稼げば生きていけるのかということには無頓着というか、考えが及びませんよね。そんな時期に上京資金を貯めるという目的でアルバイトできたのは幸せでした。100円の重みを知ることは生きる上でとても大事。どんなにお金を稼いでどんなにお金持ちであっても、100円の価値をしっかり理解していないと、対人関係においても物事に対しても雑な人間になってしまうと思います。