ひらまつ、星野リゾート、温故知新…涼とグルメを楽しむラグジュアリーな宿3選
■目前に大堰川と渡月橋 MUNI KYOTO by 温故知新
京都市の夏は暑い。嵐山で大堰川（渡月橋から下流は桂川）の水辺を眺めながら、ミニマルな美しさで洗練された宿で美食を味わって過ごすのはどうだろう。「MUNI KYOTO（ムニ・キョウト） by 温故知新」は、渡月橋も間近に臨む唯一無二の景色が楽しめる21室のみのスモールラグジュアリーホテルで、2024年の「1ミシュランキー」を獲得している。 江戸時代から近代にかけての日本画家の作品を展示する福田美術館が隣接。夏のひととき、見事なコレクションを鑑賞して過ごすこともできる。美術館はホテルと共に安田アトリエの設計で、無駄を省いたナチュラルモダンな建築が大きな窓からの景色を引き立てている。 ロビーから客室棟に向かう廊下には、北山杉をイメージした黒いポールを配する枯山水の「白の庭」がある。ゆるやかな傾斜とポールの間隔でプライベート感が増していく。客室は48.7～76.4平方メートルのゆとりある造り。木材と漆喰（しっくい）などの自然で無垢（むく）な色合いが「間と余白」の美を作り、優しい間接照明で落ち着く空間となっている。 2階からは大堰川が目の前に、1階からは水の流れ落ちる様が川に続く水系のような「黒の庭」が見える。その向こうに広がる嵐山の緑が目に染みる。 川が眼前の「ムニ・ラ・テラス」は、地下にある「MUNI ALAIN DUCASSE（ムニ・アラン・デュカス）」（ディナーのみ）と共にフレンチの巨匠アラン・デュカスの店となっており、こちらは朝食・ランチ（金・土・日のみ）とアフタヌーンティーは外来でも利用できる。 宿泊者には、夕方にアペロのサービスがあり、グジェール（チーズ入りのシュー）やナッツなどとシャンパーニュなどのドリンクで優雅なひとときを過ごせる。 「ムニ・アラン・デュカス」は、シャガールの絵が飾られた大人の空間で、至福のフレンチを味わえる。野菜を生かすことを本質に置いており、旬の素材を選び季節感を重視した料理を出す。日本的なだしや地元の食材がフレンチに昇華され、味わい、香り、彩り、どれもミシュラン1つ星にふさわしい。また、小さいサイズのパンがそれぞれの料理に合わせて出てくるのも特徴だ。 朝食でもサービスされるパンはどれも際立っておいしい。朝は、サラダ、4種類ものパンにボルディエバターや自家製のマーマレードなどが添えられ、「ポーチドエッグとサーモン」などのメインから1品を選ぶ。 夏も涼しげな竹林の小径が近いJR嵯峨嵐山駅からは徒歩約12分、阪急嵐山線嵐山駅からは徒歩約11分。最寄りの京福電鉄嵐電嵐山駅からは徒歩約4分。1泊朝食付きプラン、2人1室利用で1室9万円から。 文：小野アムスデン道子（ライター）
小野アムスデン道子
旅行ガイドブック『ロンリープラネット日本語版』（メディアファクトリー）の編集を経てフリーに。東京と米ポートランドのデュアルライフを送りながら、国内外の旅の楽しみ方を中心に、食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース。日本旅行作家協会会員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。
