なぜ新型コロナ「感染者ゼロ」を守ってきたボクシング界から初の陽性反応者(愛知県ジムの2人)が出てしまったのか?
独自に営業を続けていたジムは、検温、手洗い、うがいの徹底や、時間差練習、予約制で人数を大幅に制限して“3つの密”を避けるなど、万全の予防対策を行っていたため、これまで一人も感染者を出していなかったが、「完全休業」としない限り感染リスク、クラスター感染化する危険性は残っていた。 だが、全国の多くのジムは、会員の会費と数か月に一度のペースで行うボクシング興行で経営が成り立っており、ここで全面休業することは、収入が絶たれ、ジムの存続にかかわる大問題となるのも事実。 ただでさえ、ボクシング人口の減少で、ギリギリの経営を続けてきたジムも少なくなく、休業要請に応じた事業者への原則50万円の「協力金」の支払いを決定した東京都など、自治体によっては、補償措置を打ち出している地域もあるが、これも地域によってバラつきがあり、スピード感も、その補償額も十分ではない。ボクシングジムの経営は、ある意味、新型コロナ禍で経営危機に追い込まれている多くの飲食店、商店などの中小事業者に似ており、政府、自治体が、早急に、家賃の支払い猶予などのさらなる手厚い補償や、救済措置を用意しない限り、「ジムは休んでくれ」、でも「経営が苦しくても知らない」では、選手、会員、関係者の健康、安全を守るのが最優先といえども、「完全休業」に踏み切ることのできないジムを一方的に責めるのは酷だろう。 この日、タリーズコーヒージャパンの創業者の松田公太氏ら外食産業の経営者が記者会見し、経営が苦しい店の家賃支払いの猶予を認める法整備を求めたが、JBC、JPBAも、窮状を訴える声を政府や地方自治体に対して正式にあげることも必要なのかもしれない。 JBC、JPBAの新型コロナに対する連絡協議会は22日に行われ、今後の対策と6月以降の興行の是非について話し合いが持たれる予定。各ジムの所属プロボクサーに対する管理、予防に対する啓蒙を徹底する方策を打ち出すことは必要だろう。。 また、今後の興行再開については、全国に対象地域が拡大した「緊急事態宣言」の期限である5月6日以降、どうなるかなどの情勢を見定めてからの決定になるだろう。