「2024年から高校の授業料が無料になる」と聞きました。これから入学するなら私立に入れたほうがお得でしょうか?
現在、高校授業料の無償化は、世帯の収入などによって上限が決められています。しかし2023年12月に、東京都の小池百合子都知事が、東京都内の全高校の授業料を実質無償化する方針を示し、2024年度からは所得制限も撤廃されることになりました。 本記事では「高い授業料の私立高校が無償化されるのはお得か」という質問を受け、費用面について考えてみました。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
東京都の授業料無償化とは
実際のところ、2020年4月から、全国の私立高校では授業料の無償化が始まっています。ただし、現在の授業料の実質無償化においては、世帯の収入の上限が設けられています。 一方、東京都では2024年度から都内の全ての高校で授業料を実質的に無償化する方針を示しています。この措置は、2024年4月から実施されることになりました。 例えば、都内の私立高校(全日制)の場合で考えてみましょう。 年収590万円未満の世帯には、国の「高等学校等就学支援金」は年間最大39万6000円支給されます。東京都ではここに独自の補助金を上乗せする形で設けて、年間最大47万5000円に上限を引き上げています。 さらに国の就学支援金は、年収が590万円から910万円までの世帯には、年間11万8800円が支給されていて、私立・公立とも同額の支援金が支給されています。都内ではこの範囲の世帯についても、支給上限額が47万5000円にまで引き上げられています。 なお実際に支給されるのは、前述の上限の範囲内で支払う授業料となります。
実際に必要な高校3年間の費用は?
前項のとおり、東京都の実施する「授業料実質無償化」の政策においては、就学支援金に加算する形で、公立で年間最大11万8800円、私立で年間最大47万5000円の補助金ができることになります(実際の授業料を上限とする)。では、実際に高校3年間で必要とされる費用と比べると、どの程度の負担軽減となるのでしょうか。 文部科学省が3年ごとに調査を行っている「令和3年度 子供の学習費調査」によると、全日制の公立高等学校の学習費総額は、年間平均51万2971円となっています。この額は、入学料や授業料、その他の費用も含んだものになります。 また、同調査において私立高等学校の場合は、年間平均105万4444円となっています。 この調査から、公立の場合は授業料11万8800円以外の、39万4171円が必要になります。私立の場合では、支給される47万5000円を除くと57万9444円となり、やはり私立のほうは学費がより高くなることが分かります。 とはいえ高収入世帯にとっては、学習費全体のうち45%程度、負担が減ることになります。