上田桃子「逃げずに向き合えた」20年 第一線退く意向正式表明 今後白紙も「指導に興味」 晴れやか会見
女子ゴルフの07年賞金女王で日米通算17勝の上田桃子(38=ZOZO)が7日、第一線を退く意向を正式に表明した。8日に開幕する伊藤園レディース(千葉・グレートアイランドC)の会場で会見に出席。今後は白紙としつつも、ゴルフの指導者への関心を明かした。年間女王争いも大詰めを迎えており、早ければ今大会で竹田麗央(21=ヤマエグループHD)の初戴冠が決まる。 会見場に現れた上田の表情は、この日の秋晴れの空のように晴れやかだった。第一線を走り続けてきた日本女子ゴルフ界の顔がクラブを置く。「今年でプロ20年目となり、次のステップに行く時期。最初は苦労という苦労も知らず。でも、米国に行ってたくさん失敗も経験した。だけどうまくなりたい気持ちがいつもあったから、良い時も悪い時も逃げずに正面から向き合うことで成長できた」。日米通算17勝を重ねた38歳は笑顔で胸を張った。 熊本で生まれ、9歳で坂田塾でゴルフを始めたショットメーカー。07年に年間5勝を挙げ、当時史上最年少の21歳156日で賞金女王に輝いた。08年からは米ツアーに本格参戦。日本に主戦場を戻した14年以降も30代で6勝を積み上げるなど存在感は抜群だった。 しかし、その上田が届かなかったのが国内メジャータイトル。今季第3戦の日本女子オープンを終えた9月末に「勝てなかったな。やれることはやった」と最終決断を下したという。14年から指導する辻村明志コーチ(49)は「11年間一緒にやってきて、桃子が手を抜いた試合は一度もなかった」と称えた。 私生活では21年に結婚。今後について「決めていない」としながらも、「後輩たちやジュニアの指導にも興味はある。一番は勉強したいと思っている」と未来図の一端を明かした。ただし今、38歳の視線の先にあるのは今大会を含めた2試合で結果を残して最終戦の国内メジャー、ツアー選手権リコー杯に出場すること。「うまくなりたい」――。その一心で駆け抜けた20年。夕暮れが近づく練習場でアプローチを繰り返す姿が、いかにも上田らしかった。 ◇上田 桃子(うえだ・ももこ)1986年(昭61)6月15日生まれ、熊本市出身の38歳。9歳からゴルフを始め、熊本・東海大二高(現東海大熊本星翔高)卒業後の05年にプロテスト合格。本格デビューの06年に賞金シードを獲得し、07年には年間5勝を挙げて21歳で当時の最年少賞金女王に輝いた。08年からは米ツアーに本格参戦し、11年ミズノクラシックで初優勝。14年以降は主戦場を日本に戻した。日米通算17勝。1メートル61、54キロ。