「結末がエグい…」名作ドラマ『ケイゾク』柴田純が解決した「後味が悪すぎる事件」
■壺坂刑事の名シーンも…「史上最悪の爆弾魔」
続いては、真山の元指導役である警部補・壺坂邦男(泉谷しげるさん)が中心となった第6話「史上最悪の爆弾魔」。定年が迫ったある日、壺坂は間もなく時効となる「小包爆弾事件」を解決したいと弐係を訪れた。 同事件は、中学教師・森田功作あてに卒業生の白砂竜太から肉を装った小包爆弾が届き、爆破による死者が出たというもの。しかも被害者は、たまたま小包を森田から譲り受けた事務員・赤羽さくらの婚約者である富川桂一だった。ただ、白砂にはアリバイがあり、爆弾を作れるであろう化学教師・河合秀樹も新任のため無関係とされていた。 柴田は、森田を殺せていないのに次の犯行がないという違和感を指摘。壺坂が長年気にかけていたさくらを訪ねて軽い聴取を行い、やがて彼女が真犯人だと見抜く。 時効当日、真山はさくらに「犯人は爆弾を作った奴と送った奴の2人いる。作った奴は海外にいたので時効が伸び、今日時効になるのは送った奴だけ。“作った奴のことを全て話すと共犯者から連絡があった”と作った奴にカマをかけたから、時効までに動きがあるはず」と告げた。これは、さくらへのカマである。 次に柴田が、河合がここに来るとカマをかけた。その後、時効直前にういろうの小包が届くと、さくらは「それ爆弾よ!河合が私を殺すつもりなのよ!」とパニックを起こし、自分こそが爆弾を送った人物で河合が作った人物だと自白してしまう。“犯人をハメて自白させる”というこの展開は、ミステリーらしくスリリングだった。 犯行の動機は、桂一の裏切りだった。当時桂一の子を妊娠していたさくらは、彼の願いで中絶を選んでいた。桂一は弁護士を目指す苦学生で、ふたりに子どもを育てられるほどの経済的余裕はなかったため、さくらもそれに納得していた。 だが病院の帰り、彼女は桂一に内縁の妻と子がいたことを知ってしまう。しかも、妻は彼女が中絶した日に出産していたのだ。この事実はあまりに残酷で、さくらに同情してしまうレベルである。 壺坂は解決後、真相にはうすうす気付いていたがさくらを信じたかったと柴田にこぼし、定年を迎えた。署を去る壺坂に警察官が総出で敬礼し、真山も笑顔を見せたラストは感動の名シーンだ。