歩きスマホで「死にかけた…」子どもの“ピンチ”を疑似体験する漫画が衝撃。令和に多い事故の特徴は<漫画>
大人も子どもも「危ない」という感覚をどう身につけるか
――川遊びでは今も昔も、毎年痛ましい事故が起きていますね。 大塚「そうですね、これは時代に関係なく起きている事故です。僕が子どもの頃も外遊びをしない子はいましたが、現代はさらに外遊びや水遊びをする子が減っているように思います。そのため、昔なら大人から『危ない』と教わっていたような基本的なシチュエーションでの溺水事故が増えている印象です。 外遊びや川遊びに慣れていない親子が、突然川に行ってしまい、そこで事故に遭うケースも多いですね。いわゆる『ヒヤリハット』って、通常は300件のヒヤリ、29件の軽い事故が起きると1件の大きな事故につながると言われます。1件の重大な事故の裏には、29件の軽傷事故と300件の無傷事故があるという、ハインリッヒの法則です。でも、最近の川遊びに関しては、ヒヤリハットからすぐに事故につながる状況が増えているように感じます。 近年は日常的に外遊びや川遊びをするのが難しく、危ないシチュエーションを学ぶ機会が減っています。だからこそ、漫画で川遊びの危険性を疑似体験してもらえたらと思っています」
毎年後を絶たない、子どもたちの「後追い沈水」事故
――歩きスマホや誘拐など、漫画の中にはさまざまな事例が登場しますが、特に気をつけてほしい危険なシチュエーションはありますか? 大塚「漫画の中で紹介している『後追い沈水(あとおいちんすい)』の事例は、特に注意してほしいです。これは、子どもたちが集団で遊んでいるときに誰かが溺れ、その子を助けようとした子どもも溺れてしまうという事故です。毎年夏になると、後追い沈水による死亡事故が必ず発生しています。毎年誰かが遊泳禁止の川で溺れ、それを助けた人も巻き込まれてしまいます。 後追い沈水を素人が助けるのは無理です。ですから『なぜ遊泳禁止の場所に行ってはいけないのか?』という理由とセットで『川遊びは危ない』と理解することが大事なのです。 きょうだいや友達と川遊びをする際、上級生が下級生を見守ることも重要です。集団で遊ぶ際には、自分の立場を意識して行動することを学んでいってほしいです。気をつけるべきポイントをたくさん学んで、危険な場所やシチュエーションを避ける習慣がつくと良いですよね。『ここなら大丈夫だけど、少し外れると一気に危険になる』といった感覚を身につけてほしいです」 ――漫画を通して水遊びの危険やその対策方法を知ることは大切ですね。 大塚「そうですね。例えば、スマホを使いながら歩く『ながら系』による事故は、現代特有のものとして今後は変わっていくかもしれません。時代の変化とともに、新しい事故や事件はどんどん出てくると思います。でも、川遊びの危険性は昔も今も変わらず、普遍的に起きうる事故です。 漫画では、時代に関係なく起きる危険についても取り上げています。たとえば、毒を持つ生物に出会ったときの対処法です。今も昔も毒は毒ですよね。危険な生物は変わらず危険です。こうした普遍的な危険については一度学んでおくと、『これは危険だ』と理解し、今後も役立つ知識として備えられると思います。知識があれば、危険を避けたりピンチを逃れたりすることが可能になります」