強迫症の治療が遅れてしまう原因は? 急激な悪化が治療タイミング
不安がとまらない強迫症。発症してもすぐには医療機関を受診しない人も多く、つらさをがまんしながら日常生活を送っている人もいる。強迫症の受診のタイミングや治療法を、セレーナメンタルクリニックの院長である野間利昌氏が解説する。 【図】不安の度合いを3つに分類 ※本稿は野間利昌監修『強迫症/強迫性障害をワークで治す本』(大和出版)から抜粋したものです。
まずは、治す気持ちを持つことが大事
強迫症の患者さんの年齢は小学生ぐらいから60代以上までと幅広く見られます。発症してもすぐには医療機関を受診しない人も多く、未治療期間は7~8年程度といわれています。 治療が遅れるのは、自分でも症状が「ばかばかしい」と感じていて受診が恥ずかしい、精神科の受診にためらいがあるなどのためです。 また、強迫観念や強迫行為でつらさがあってもがまんしながら日常生活を送ってしまう方もいます。悪化のスピードが遅いと本人が少しずつ症状に慣れていくため、受診の必要性を感じにくいという点もあります。 手洗いが何分以上になると困るなど、人によって許容範囲が異なり、どの程度で受診するかは人それぞれです。そういう人でも、症状が激しくなり外出できなくなったり、自分でも苦痛に感じるようになったりすると、医療機関の受診を検討するようになります。 別の問題でストレスが高まり、本来あった強迫症に耐えきれなくなって相談に来る方もいます。
急に悪化したら治療のいいタイミングと捉えよう
治療を左右するのは、本人の「治したい」という思いです。未治療期間の長短は、治り方にあまり影響しません。自分のなかで「治さなくちゃ」という気持ちが高まったときに受診することをおすすめします。 「症状がつらくて、もう耐えられない」という状況になれば、「何としてでも治したい」という気持ちが高まるものです。急に悪化したときこそが治療のいいタイミングともいえます。 自分の意思ではなく家族に連れてこられる方や「親に受診しろと言われたので」という方もいますが、治したい気持ちがじゅうぶんに高まっていないと、行動療法にとり組むことは難しいことが多いようです。 セレーナメンタルクリニックでは対象を中学生以上とし、自分で予約をとることを基本としています。つらい症状に苦しみ「どうしても治したい」と、治療への強い意思がある人ほどスムーズに治療が進みます。