出雲駅伝V導いた国学院大・平林清澄のロングスパート 明暗分けた駒大アンカーの選択
一方、敗れた駒大の藤田敦史監督は「並走」を敗因の一つに挙げた。平林の4秒後にたすきを受けた篠原は、1キロほどで追いつくと横に並んでレースを進めた。藤田監督は「平林はすごくクレバーな選手。並んだことで苦しそうな表情を察知されたのではないか」。名伯楽、大八木弘明総監督も「後ろで我慢していればよかった。駆け引きがうまくいかなかった」と、篠原の選択に悔しさをにじませた。
ゴール後、涙に暮れた篠原は後日、3番手を走っていた青学大の太田蒼生（4年）の存在が気がかりだったと振り返った。「後ろについて（ペースが落ちて）追いつかれるのが嫌だった。それをちょっと考えすぎた」。太田とは第5中継所では20秒の差があった。目の前の相手と勝負に集中していれば、結果は違ったものになっていたかもしれない。
「お前は今日は強かった」
閉会式後、大八木総監督はすれ違った平林と握手を交わし、こうたたえた。「今日は」と付けたところに、次は負けないという大八木総監督の意地が垣間見えた。
学生駅伝は11月3日の全日本大学駅伝、来年1月の箱根駅伝と続く。国学院大がさらなる栄冠をつかむのか、駒大の巻き返しか、それとも…。期待に胸を膨らませるシーズンの幕開けとなった。（石原颯）
