サステナブルな旅の土台を支える「平和」。戦争はなぜ起きるのか?を考える
記事のポイント①サステナブルな旅をするには、何が必要か②筆者は、大前提として「平和な社会」が重要だとする③「戦争と平和」の視点で旅を考える
サステナブルな旅をするには、何が必要でしょうか。いろいろなものが思いつきますが、大前提となるのは「平和な社会」です。紛争や戦争が起きている場所には、旅に行けません。そこで今回は、戦争と平和について考えてみます。(サスタビ代表・行方一正)
■平和には3つの種類がある
――今回は、戦争と平和というテーマで考えてみます。大きなテーマなので、どこから考えてみるべきか悩みます。 まずは、戦争がなぜ起こるのかというところから考えてみるのはどうでしょうか。戦争の原因は、たくさん考えられますが、「組織と組織の対立」が発生する原因を考える必要があります。議論に入るため、戦争の反対である「平和」とは何かを考えてみるのもいいかもしれません。 ――いいですね。平和な状態とはどんな状態のことでしょうか。 平和には、主に3つの種類があります。 消極的平和:物理的暴力(紛争や戦争)がない状態 積極的平和:構造的暴力(貧困や格差、人権)がない状態 文化的平和:文化的暴力(言語や宗教などによる差別)がない状態 参考:Galtung, J. (1996). 『Peace by Peaceful Means: Peace and conflict, Development and Civilization』, Oslo: International Peace Research Institute. 物理的な暴力である戦争は、構造的暴力や文化的暴力が原因となっている場合もあります。また、経済的資源の獲得・領土拡大も原因の一つです。そのため、これらは完全に独立しているわけではなく、複雑に絡み合っています。
■国家という組織の利害の対立が戦争に
――最も平和な状態は、「文化的平和」ですね。ただ、今は消極的平和すら守られていない地域も多くあります。 暴力が行われている地域はまだありますね。また、社会の安全と安定を維持するために、合法的な暴力装置である警察や軍隊が存在しています。彼らは、法律によって殺人が合法化されています。 ――ここで改めて、なぜ戦争が起きるのかという問題を考えてみたいと思います。 それは、国家という組織の利害の対立が発生するからです。対立が発生しても、それが個人間なら単なるケンカです。 ――確かに、単位の違いはありますね。 私たちの世界は、個人=国民、組織=国、そして社会で構成されています。国民が安全に暮らすには、社会を維持するためのルールが必要です。 そして、社会をまとめるためには国という組織が存在します。国は権力を持っており、権力を行使することで社会のルールを作り、国民が管理されるという仕組みです。 ここで問題になるのが、世界中の国の方針が一致しないことです。方針が違うため、国家間で利害が対立し、先に述べたような経済的、構造的、文化的な問題から戦争に繋がります。 本来、それぞれの国の共通の課題解決を進められるといいのですが、実際はなかなか難しいですね(SDGsのような世界共通課題)。 各国が自分たちのことだけを考えた場合、自国中心主義が強まり、周辺国のことを考えなくなります。これにより国同士の対立が生まれ戦争に繋がります。
■なぜ自国中心主義が生まれるのか
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