湘南で新たなスタートを切ったレストラン 人との繋がりで起きた奇跡
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
7月15日は、「海の日」。夏の海といえば、やっぱり湘南! 湘南の海で思い切り夏を感じたら、おいしいものとおいしいお酒が恋しくなります。湘南・藤沢でこの夏、新たなスタートを切った料理屋さんのご夫婦がいます。 今年の7月2日、神奈川県の藤沢駅北口近くに、ひらがなで「しぇんろん」と書く一軒家レストランがオープンしました。
トップとしてお店を切り盛りするのは、羽鳥真理子さん。食材と向き合って、丁寧に料理を作り上げるのが羽鳥祐司さん。お二人は、学生時代の同級生で、縁あって結ばれ、いまから29年前の1995年7月に、藤沢駅の“南口”で、「カフェテリア神龍(シェンロン)」というお店を開きました。 「しぇんろん」というお店の名前は、お子さんたちのアイディアだといいます。 祐司さんは、脱サラをして、中華料理のチェーン店での修業を経て、独立したことから、料理もラーメンやチャーハンなどの中華料理がメインでした。 「中華料理なら神龍(シェンロン)がいいよ! ドラゴンボールを7つ集めると、何でも願いをかなえてくれる神龍が現れるんだ。きっと、どんどんお客さんがくるよ!」 そんなお子さんの予想は、ピタリと当たりました。 お昼時は次から次へとお客さんがやってきて、それはもうてんてこまい。でも、カフェテリアということもあってか、夜の時間帯は空席が目立ってしまいます。 そこで、常連のお客さんのアドバイスで、「しぇんろん」は居酒屋に軌道修正を図ります。普通のお酒を出しても大手居酒屋にかないませんので、地酒にこだわることにしました。繋がりの出来た蔵元を訪ねて純米酒と出逢うと、羽鳥さんご夫妻は衝撃を受けました。 「本当においしいお酒は、こんなにも違うんだ!」 祐司さんは、純米酒に合う料理を作ろうと試行錯誤を重ねていきます。 朝、市場で仕入れた新鮮な魚の刺身や、しっかり出汁を取った料理を出したり、寝る間も惜しんで料理の研究に取り組んでいきました。 でも、無理が祟ったか、祐司さんは心臓の病気で倒れてしまいます。生死の境をさまよいながら、およそ4カ月の入院生活を経て復帰した祐司さんは、真理子さんにこう話します。 「もう居酒屋は卒業しよう。生まれ変わった命、もっと料理を突き詰めていきたいんだ」 お店の名前も、「純米酒料理屋しぇんろん」と改めることになりました。