井上尚弥、無敗挑戦者グッドマンの「弱点」左目狙うと堂々宣言「当たり前」「それも勝負のカギ」
プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31=大橋)がプロ意識を高めて挑戦者の「弱点」を突く構えだ。24日、東京・有明アリーナでIBF、WBO世界同級1位サム・グッドマン(26=オーストラリア)との防衛戦を控え、8日に横浜市の所属ジムで代表取材に応じた。グッドマンの左目上裂傷で昨年12月24日から今月24日に延期されたカード。井上は左目を狙うことを堂々と宣言し、プロの厳しさも無敗挑戦者に伝える姿勢を示した。 【写真】左目上が裂傷しているサム・グッドマン ◇ ◇ ◇ 減量でほっそりとした井上の顔からは自信の笑みが浮かんだ。シャドーボクシング、サンドバッグ打ち、昨年12月末から招へいした元全米アマ王者ジャフェスリー・ラミド(25=米国)との6回のスパーリングも実施したという。当初は昨年12月24日開催だったグッドマン戦だが、試合10日前の同14日に母国で公開スパーリングしたグッドマンが左目上を裂傷。1カ月間、試合延期となった。 4針縫合したという挑戦者の左目上カットの回復も想定し、両陣営の交渉の末に延期日程を設定した。井上は「左目は1つの大きな弱点になる。狙う? 当たり前じゃないですか。勝負ですから。プロの世界はそんなに甘いもんじゃないところもあるし、それも1つの勝負のカギになってくるのかなと思う」と“非情”に徹する姿勢を示した。 テクニック十分のグッドマン対策として、昨年12月29日からラミドが練習パートナーとして合流し、同30日からスパーリングを再開した。同門の日本フェザー級王者松本圭佑(25)、パリ五輪男子57キロ級日本代表の原田周大(23=専大)らもパートナーに加えて調整。総スパーリング数は計130回に到達。井上は「今の時点では最高の仕上がり」と手応えを口にした。 昨年12月は、井上の世界戦延期を皮切りに同門のWBO世界バンタム級王者武居由樹(28)が右肩関節唇損傷で同級10位ユッタポン・トンディー(31=タイ)との2度目防衛戦が中止に。元世界4階級制覇王者・井岡一翔(35=志成)も自身13度目の大みそか決戦としてWBA世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネス(33=アルゼンチン)と再戦するはずが、王者のインフルエンザ感染で試合前日に中止となったばかりだ。井上は言う。 「武居が中止、井岡選手が中止という中で、ボクシングファンの中には結構、ウズウズしている方もいるんじゃないかな。そこに2025年の1発目の世界戦で、自分の中ではファンの方に向け、いいものを見せたいなっていうのはある」 国内開催の世界戦の25年幕開けを華々しく飾る準備を着実に進めている。【藤中栄二】