甲子園で制球力を発揮した富山商の山本 心太郎（撮影：太田裕史）

　第106回全国高校野球選手権6日目、第2試合に登場した富山商（富山）の2番手としてマウンドに上がった山本 心太郎投手（3年）に、光るものを感じた。身長180センチと上背は十分だが、体重は65キロ。見るからに線は細いが、東海大相模（神奈川）打線に、堂々と対峙していた。 【トーナメント表】夏の甲子園　大会6日目までの結果一覧 　軸足の右足を少しだけ引き上げてタイミングを取り、左腕を上手く使いながら開かないフォームとなり、キレのいい球を投げる。球速こそ130キロ前半だが、低めに制球良く決まっていた。特に、左打者への内角低めへの直球は伸びを感じさせ、東海大相模の打者も、思わず腰が引けていた。3回途中から登板し、3回を投げて3安打1失点で6回途中の降板となったが、制球力の高さを感じさせるには十分だった。 　山本は「点を取られるまで丁寧に投げることができていたのに、悔しかった」と反省しきりだったが、直球にスライダー、チェンジアップを駆使し、強打の東海大相模打線に一回りまでは、仕事をさせなかった。 　この夏に向けて成長した右腕だった。「ストレートの質、切れというところには自信があります。入学した時は120キロだったが、体作りをして、135キロまで伸びた」。春の県大会では決勝で高岡商を完封。この夏の富山大会でも、準決勝までの14イニング無失点だった。その成績にも納得がいく。 「大学でも野球を続けますし、もっとストレートを速くしたいです」 　体はこれからどんどん大きくなるだろう。それにともなって、力もつくし、スタミナもつく。制球力もさらに磨きがかかるだろう。山本の今後には、大いに期待できると感じた。 　富山商はこれまでも好投手を生んできた歴史がある。この夏、輝くことはできなかったとしても、「原石」として、甲子園のマウンドに自分の姿を刻み込んだことは間違いない。