お花畑広がる初心者向け三番山頂「大蔵高丸」、絶景富士見の山頂からスタンドシートさながらの景観美に酔いしれる
秀麗富嶽十二景の三番山頂となる大蔵高丸とハマイバの2座は、標高がそれぞれ1781mと1752mで富士山に近いハマイバの方が標高が低くなっています。まるで映画館やコンサートホールのスタンド席のようなレイアウトで、大蔵高丸からの景観は素晴らしく大地がつくり出した富士山観覧席の妙に驚かされます。もちろん富士山の優美なシルエットが視界一面。いずれもマイカーで、湯ノ沢峠からのアプローチならハイキングなノリで登頂可能です。 【写真】コースタイム1時間のお手軽「大蔵高丸」登頂のルートを見る(全12枚)
湯ノ沢峠から山頂へ、玉座の観覧席から見る特大の富士山
その姿、まさに秀麗。遮るものなしの絶景は、大蔵高丸ならではのものだと言えます。前山の三ツ峠山はお約束ですが、視界右手の西側には南アルプスの北部群嶺が水平線を引き、東側には愛鷹山の山並が裾を繋げるかのように優美なラインを披露してくれます。王者のインスタショットは蒼穹の背景。富士山の凛々しく美しいラインを堪能するためにあるようです。 登山口の湯ノ沢峠から1時間弱のコースタイムで味わえる絶景というコンパクトさが、大蔵高丸の魅力ですが、この登山ルート上には春から秋にかけては「お花畑」が東側に広がります。あいにくの取材日は冬でススキが我が物顔に居座っていましたが、ミヤマキンポウゲの鮮やかな黄色や紫のタチツボスミレやサンリンソウの可憐な姿を愛でることができます。晩夏から秋にかけてはマツムシソウが咲き乱れるそうです。
アプローチはマイカーが便利、大峠周りはハードな縦走
大蔵高丸の登山口へはマイカーでの湯ノ沢峠利用がもっとも便利です。天目山温泉手前から焼山沢真木林道を走ります。この林道は登山口手前約2kmまでは整地されたアスファルト道で快適なのですが、そこからが不整地で岩が露出する悪路です。クルマの腹底を打たないようにかなり神経を使います。最低地上高に余裕のあるSUVモデルなら問題ないかもしれませんが、スポーツモデル系だと、嫌な擦過音を耳にすることになるかもしれません。駐車場は広く、秀麗富嶽十二景としては珍しくトイレと避難小屋が完備されています。 もしくは一番山頂の雁ヶ腹摺山でレポートした大峠駐車場の利用も一考かもしれません。大月市製作のパンフレット地図では、この大峠からのアプローチを進めていますが、山行距離と登山難度は湯ノ沢峠駐車場からのそれと比較にならないほど長く厳しいです。 ただし、こちらのルートは秀麗富嶽十二景にはカウントされていない、通な絶景富士の眺望を楽しめる白谷ノ丸を通過することになるので、それなりのキャリアを踏んだ登山愛好家の方々に人気のバリエーションになっています。 公共交通機関を利用なら大月駅発ハマイバ前バス停下車か、甲斐大和駅発やまと天目山温泉バス停下車で徒歩となります。前者で約1時間半、後者で2時間越えのコースタイム。何れにせよ登山口まででタフな歩行距離と時間が待っています。
ソトラバ編集部