ポンドに強い追い風、英国の7月総選挙で来月利下げ見送りが決定的に
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)の6月利下げの可能性が事実上排除され、外為市場では今週もポンド相場が上伸した。
ポンドは月間ベースで昨年11月以来の高い上昇率を記録する勢い。インフレを抑制するため英金利は高止まりするとの見方が背景にある。スナク首相は7月4日の総選挙実施を表明しており、それまでに利下げが行われるリスクはほぼ消えた。
トラス前政権や欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票の時のように政治的議論に引きずり込まれないよう、英中銀は本当に必要でない限り、選挙期間中の金融政策変更は望まないだろう。英中銀は独立した機関であり、入手するデータに基づき判断を下すが、それでも来月利下げすれば疑問の声が上がる可能性はあると、米金融大手ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループやシティグループはみている。
シティのストラテジスト、ジェイミー・サール氏はリポートで、7月選挙は「英中銀が近い将来に利下げする可能性をさらに低下させた」と述べ、「それが過ぎれば、英中銀のサイクルと選挙が重なるリスクはなくなり、完全にデータに基づく判断へと集中できる」と続けた。
これはポンドにとって、特に対ユーロで有利に動くとみられる。欧州中央銀行(ECB)は6月にも利下げする可能性が高く、ポンドとユーロの利回り差はさらに開くことになる。クレディ・アグリコルやバンク・オブ・アメリカ(BofA)、マネックス・ヨーロッパはポンドへの強気を深めている。
低金利の通貨を売ってポンドのような高利回り資産を買い入れるキャリー取引も、ポンドを押し上げている。24日は英小売売上高が軟調だったためポンドは上げを一時縮小する場面もあったが、ドルに対して月初来では1.6%高となっている。
この資金流入で、英資産購入に際して投資家が要求する上乗せリターン、いわゆるEU離脱(Brexit)プレミアムも縮小した。ポンドは依然として2016年のEU離脱国民投票前の水準を大きく下回るが、ユーロに対しては今や2年ぶりの高値に近づいている。