同県対決は2-1で就実が玉野光南を下す
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 中国は12日に第17節を実施。就実(岡山)と玉野光南(岡山)による同県対決は2-1で就実が勝利した。 【フォトギャラリー】就実 vs 玉野光南 前節を終えた時点で就実の順位は降格圏内の1つ上に付ける8位。だが、勝点2差の山口U-18は1試合少なく、プレミアリーグで降格圏内にいる米子北(鳥取)次第では県リーグ降格の可能性はある。大谷雄太郎監督が「とにかく今日は勝たないとプリンスに残れない。残留することしか考えていなかった」と口にする通り、勝点3のみを目指してこの一戦に挑んだ。 前期に対戦した際は開始1分に先制点を与えているため、立ち上がりには気を付けていたが、そう上手くは行かない。この試合でも開始直後に自陣まで持ち込まれると、前半3分には玉野光南にCKを献上。キッカーを務めたDF3宮後名緒登(3年)の左足キックが直接ゴールネットに吸い込まれ、再び追い掛ける展開を強いられた。ただ、「今日は失点しても時間がたっぷりあったのでダメージは少なかった」(MF10樋口琉生、3年)ことは幸いで、以降は互いに奪ったら素早く前線にボールを入れる形で拮抗した展開が続く。 玉野光南は幸先の良いスタートを切ったが、以降が続かない。今節は攻守の要であるMF10森虹太朗(3年)が出場停止だったため、本来はトップ下のMF7北村雄河(3年)がボランチでプレーしたが、乙倉健二監督は「チーム内のバランスが崩れたかもしれない」と口にする。それでも、怪我による長期離脱から復帰したFW11鈴木大空(3年)を起点にチャンスを伺ったが、「最後を打開するパワーが足りなかった」(乙倉監督)。 再び試合が動いたのは前半終了間際の43分。ロングボールのセカンドを拾った樋口がPAの前で倒され、FKを獲得。キッカーのFW9松澤悠紀(3年)が壁の外から狙ったシュートがゴールの右下に決まって、就実が同点で試合を折り返した。 後半は就実の勢いが増していく。前半の攻撃は長いボールを入れることで、相手のラインを下げて、空いたDFの前のスペースを使って攻めるつもりだったが、ラインが下がっていることに気付けず2トップを目掛けた長いボールばかりになっていた。 ハーフタイムに「ちゃんと1回、横に付けたり、縦パスを入れてから3人目が関わらないと勝ち上がっていけない」(大谷監督)と軌道修正したことで相手エリアでの関りが増え、チャンスに持ち込むと後半3分には奪ったボールを左前方に展開する。受けた松澤のタメから、MF14山本瑛翔(3年)が大外をオーバーラップ。中のMF7前川絢祐(2年)に入れたボールのこぼれ球を鈴木が決めて逆転に持ち込んだ。 試合終盤は玉野光南に押し込まれる場面が増えたが、DF5三尾壮太(3年)を中心とした3バックが粘り強く失点を回避し、今季5勝目を手にした。 「プリンスの他の9チームに比べたら低い」と口にするのは大谷監督で、就実の選手層は決してトップレベルとは言えない。以前は堅守速攻のスタイルで格上といえるチームに挑んできたが、今季は「守るばかりで守れなかったらやられてしまう。それなら攻めに行こう」(大谷監督)とスタイルを変更。結果的に失点数は増えたが、その分得点力は上がっている。 後期に入ってからは白星がなかなか奪えず苦しんだが、前節と今節はともに2得点。「今は2試合連続で2点取れているので、もう1回自分たちの良さが出ている。今日は勝ちが欲しかった中で勝てたのは大きな収穫」。そう樋口が口にする通り、他チームの結果によって順位は上昇しなかったが、価値のある勝利となった。 対する玉野光南にとっても価値のある試合だったのは間違いない。「怪我や累積がある中、シーズンのワンシーンなので、上手くいかなかったとしても、今日のゲームは彼らにとっては成長の場だったと思う」と話すのは乙倉監督で、ベストメンバーではない戦いを経験できたことはこの先に繋がってくる。両チームともに同県対決で得た収穫をもうすぐ始まる選手権予選に生かすつもりだ。 (文・写真=森田将義)