“1個3分”アマゾン配達“過酷”な現場──12時間で200件以上「私はロボットか…」 2024年問題、大手「残業規制」のしわ寄せが
日テレNEWS NNN
モノが運べなくなることが懸念される「物流の2024年問題」。ドライバーの残業時間が規制される働き方改革が始まりましたが、現場ではどんな変化が表れ、私たちが注文した商品はどうなるのか? アマゾンの商品を配達するドライバーの1日に密着しました。 【画像】宅配ドライバー「死にものぐるい」「非効率ですね」――1日200件の現場を取材 2024年問題で緊急対策…再配達「値上げ」案も
■午前の便「118個」を6時間で配達
ネット通販最大手・アマゾンの荷物を配達する矢島さん(仮名)。会社に所属せず、下請けの運送会社と契約する個人ドライバーです。 4月のある日。運ぶ荷物を見せてもらうと、軽貨物車にギチギチに積まれていました。 矢島さん 「(半日分の)午前便で118個。(数としては)多い方です」 これを約6時間で配達しなければなりません。
■下請けの社員「明らかに残業増えた」
トラックドライバーの残業時間が規制され、モノが運べなくなることが懸念される「物流の2024年問題」。ドライバーの労働時間は全業種と比較して長いため、今年4月から残業時間を1か月で約80時間まで(年間960時間以内)とする働き方改革が始まりました。 トラックドライバーは大きく、大手運送会社に所属する社員、その下請け会社の社員、そして下請け会社と契約する個人ドライバーに分けられます。 長距離トラックを運転する下請け会社の社員は取材に、「明らかに残業時間が増えていました。3月が100時間くらい、4月になったら残業130~140時間でした」と語りました。大手企業が残業を規制したしわ寄せが、下請け会社に及んでいるといいます。
■プレッシャーの中で「危険な瞬間」も
矢島さんら個人ドライバーも、働き方改革の対象です。矢島さんの給料は日当で約2万円で、どれだけ多く運んでも同じ。そして荷物は、ある決められた方法で運ばなければなりません。 「ピンが打たれています」と、矢島さんがスマホの画面を示します。アマゾンが開発した配達ドライバー専用のアプリです。アマゾンジャパンは、アプリの使用は任意だとしつつも、ドライバーは実質的に指示されて動いているのが実情です。 矢島さん 「(朝にアプリを)立ち上げた時に、初めて個数とコースがわかる。こんなにある、どうしよう…」 ──1件何分で配る? 矢島さん 「1個3分くらい」 単純計算で1個3分で配るプレッシャーの中では、危険な瞬間もあるといいます。「でも全部急いで配達しようと思ってなっている事なので。適正な荷物量と労働時間だったら(危険な運転に)ならないだろう」と言います。