“1個3分”アマゾン配達“過酷”な現場──12時間で200件以上「私はロボットか…」 2024年問題、大手「残業規制」のしわ寄せが
■ドライバーを困らせる不在と再配達
午前の118個を配り終えないうちに、手元のアプリには新たな情報が。矢島さんは「もう午後の便がとばされましたよ。見てください、これ。109個あります」。早くも午後の配達分の指示が入りました。この日の配達は合計227件です。 配達先によっては急な坂や階段を駆け上がり、息を切らすような場面もありました。「なかなか難所ですね…」と矢島さん。「こういうふうに追われてやっているのを、アマゾンは知っているのか。安全安全と言っていますけど」 矢島さんによると、現在は多くの人が玄関前などの「置き配」を選択し、配達時間の短縮につながっています。一方で、時間に追われるドライバーを困らせるのが不在による再配達。持ち帰った荷物は再配達になり、配達完了まで1週間かかることもあるといいます。
■矢島さん「雨でも風でも荷物減らない」
全てを配り終えたのは午後8時半ごろ。約12時間の、過酷な長時間労働です。 矢島さん 「人として見ていないんだなと。どんな天候でも雨でも風でも荷物の量は減らないですし、機械、ロボットとしか見ていないのかな、という。つぶれるまで使って、『次はいくらでもいるよ』という考えなのか」
■荷物は30個増…背景には何が?
残業規制が始まって1か月余りの5月中旬、再び矢島さんを訪ねました。4月以降、荷物は約30個増えたといいます。その背景には、大手業者の残業規制があるとみています。 矢島さん 「(大手社員が)だんだん辞めて人手が少ない話も聞いているんですよ。残業代を稼げないので。その分、同じ量をアマゾンが配達させるのであれば、誰かがどこかでしわ寄せを受けなきゃいけない。それが来ているのかなという感じです」
■書面では「拘束受けない」 実際は?
アマゾンの下請け会社が作成したとみられる、「アマゾン配送現場における個人事業主としての権利」と書かれた書面を入手しました。そこには、「始業・終業時間の指示はない」「時間的拘束を受けない」などとありました。 ただこれは、始業時間や拘束時間を決められている矢島さんたちの実際の働き方とは異なります。 日本テレビ調査報道班は、ドライバーへの負担軽減策や2024年問題への対応について、アマゾンジャパンに対し複数回にわたり返答を求めてきましたが、回答は得られませんでした。