介護者同士が気軽に話せる場 各地で…マッサージや理美容店の料金を助成する自治体も
誰かを介護することは、不安や苦労もあるでしょう。育児や仕事、病気を抱えながらであれば、なおさらです。家族などを介護する人を支える取り組みを紹介します。 【図解】ペットボトルのふたはどう開けている? 開け方でわかるフレイルのサイン
「みんなと話をすることがストレス発散になるね」。11月下旬、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、男女8人が談笑していました。毎月第4土曜日の夜に、家族を介護している人などが交流する「ケアラー誰でもオンラインサロン」です。 閉じこもりがちな介護者が自宅からでも気軽に話せる機会を増やそうと、介護経験者や支援者が2022年4月から開いています。予約や参加費は不要です。 「最近、妻が怒りっぽくて、介護する自分もイライラしてしまう」「弟が、母の介護に関わろうとしなくて」――。悩みの相談や近況報告で、予定の1時間半はあっという間に過ぎました。 オンラインサロンの世話人の一人で、埼玉県坂戸市で介護者サロンも開いている須田正子さん(74)は、夫の両親の介護を経験したそうです。「介護中は目の前のことで精いっぱいだけど、話せば気持ちが軽くなるし、状況を客観視することもできる。ほかの人の話を聞くだけでもいいので、まずは気軽に参加してほしい」と呼びかけています。
こうした集いは、自治体や社会福祉協議会、NPO法人が各地で開いています。高齢者の相談窓口「地域包括支援センター」や市区町村の介護保険窓口で、開催情報を得られます。まずは近所や、行きやすい日時に開かれている会に足を運んでみましょう。 同じ地域の人の集まりなら、身近な介護事業所や医療機関の情報を得やすいでしょう。地元の地域包括支援センターや介護事業所の職員が参加していることもあります。 似たような立場の人が集まる会なら、より話がしやすいでしょう。働いている人が参加しやすい土日や夜間に開かれる会や、「男性介護者」「20~30歳代の若者」など、参加者を限定した会も増えています。 公益社団法人「認知症の人と家族の会」(京都)と同会の都道府県支部や、NPO法人「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」(東京)は、電話による相談を定期的に受け付けています。 また、介護者が息抜きや自分のための時間を持てるような支援策を用意する自治体もあります。マッサージや理美容店の料金を助成したり、ヨガやバスツアー、そば打ち体験といったイベントを企画したりしています。「慰労金」を支給する自治体もあります。支援事業があるかどうか、自治体に聞いてみましょう。 要介護者が安心して生活を送るには、介護する家族の暮らしが安定していることが欠かせません。介護者支援などに取り組むNPO法人「さいたまNPOセンター」の村田恵子専務理事は「介護している自分自身も、サポートを受けていいのだと認識することが大切です。一人で抱え込まずに、いろいろな人とつながってほしい」と話しています。(小沼聖実)(2024年12月10日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です)