【アオシマは模型界の異端児!?】王道の名車、デコトラ、美少女フィギュアまで…フリーダムな物作りの秘密とは?
「企画を挙げてダメ出しされることはほとんどありません」
──製品化と言えば、「族車」やデコトラなど個性的なプラモデルも多く出ていますね。 中西●バイクの族車は90年代に手掛けて結構売れましたが、コンプライアンスという文字が出始めた頃から商品化が難しくなりました。弊社では、企画担当者が面白いなと思ったもの、そのときに流行っているようなものに目をつけて「これをやってみたい」と会社に挙げるんです。他社だとおそらくダメと言われるようなものでも。それで社長からダメと言われたこともほとんどありません。それが、外からはちょっとアウトロー的に見えているのかもしれません ──実車の世界では絶版車が人気ですが、そういった傾向はプラモデルにもありますか。 中西●コロナ禍の巣ごもり需要でCBX400FやGS400といった絶版車のキットが売れました。ですが、これらは今ほど加工技術が進んでいない、実車が現役だった時代に作られたものなので、(プラモデルの)設計に無理があるというか、組み立てるのが結構大変なんです。完成してもあまり似ていないし(笑)お客さんから「うまく作れない」というクレームが多く寄せられました。 今の技術で新規に起こせばいいのですが、プラモデルを製品化するのは何しろお金が掛かります。家が一軒建つほどなので回収するのも大変ですし、プラモデルが売れていた時代と比べると、ゼロの数がひとつかふたつ変わってくるくらい減っています。昔のキットを再生産という形で長く作り続けているのもそういう理由からです。
プラモデルの世界も「タイパ」重視に!? それを踏まえた製品も開発
──バイクの世界では高齢化が叫ばれて久しいのですが、プラモデルはどんな傾向にありますか? 中西●スケールモデルは40代後半以降の方、ガンプラをはじめとするキャラクター系は20代後半か、もっと若い方が主軸になります。 ──若い世代がスケールモデルに流れてくる期待はあるのでしょうか 中西●我々もいろんなジャンルを手掛けていますが、それぞれのユーザー層がかぶるということはほとんどありません。一品一品ターゲットが異なるというか。キャラクター系が好きな人がスケールモデルに手を出すかというと、なかなか出さないんですね。キャラクター系とそれ以外とで大きな溝がある感じです。 弊社でもスケールモデルとキャラクター系のチームに分かれていて、私はスケールモデル専門です。複数の企画を掛け持ちで担当したりしますが、美少女フィギュアなどを担当する人はほぼフィギュア専門です。その分野に精通した人と言いますか、お客さんと同じような感性や趣味性を持った人が担当しないとお客さんに響かないんでしょうね。 私にはどういうところにフィギュアのツボがあるのかさっぱり分からないのですが、その分野に精通した人が出す製品って、やっぱりよく売れるんです。 ──CB400フォア、CB750フォアに続く第3弾は期待できますか? 中西●今のところ予定はありませんが、世の中の流れ的に、簡単に作れるものが好まれる傾向にあります。私が企画したクルマのプラモデルで「ザ☆スナップキット」という、接着剤や塗料を使わずに組み立てられることを売りにしたシリーズがありますが、これが今クルマのプラモデルの中で一番売れています。今後何か出すとしたら、バイクでも同じ方向を進むかと思います。