【陸上】パリ五輪競歩代表「スーパー店員」浜西諒「時間の有限性意識」普段は青果物の品出し奔走
陸上男子20キロ競歩パリオリンピック(五輪)代表の浜西諒(24=サンベルクス)が18日、都内で取材に応じ「金メダルを目標に準備していきたい」と、同種目日本勢初の快挙達成を誓った。 【写真】2月、日本選手権の男子20キロ競歩で2位に入った浜西諒 2月の日本選手権で2位に入り、初の五輪切符を獲得。5月の東日本実業団選手権では5000メートルで18分16秒97の日本新記録を樹立した。持ち味は「スピード」と語り、「特にラストのキレは、昔から武器だと思って磨いてきた」と自信を見せる。 オリンピアンの浜西には、もう1つの肩書がある。それが「スーパーの店員」だ。 所属先のサンベルクスはスーパーマーケットを展開しており、普段は埼玉・草加市内の店舗で青果売り場を担当。パリ五輪内定後の今も週4日の頻度で午前8時から午後1時まで出勤し、青果物の品出しや加工に奔走している。お客さんから「どちらの野菜が新鮮ですか?」と尋ねられるのは日常茶飯事。食品の鮮度を見極める眼力も「ついてきたと思いたい」とほほ笑む。 勤務時間の分だけ、競技に打ち込む時間は減ってしまうようにも思われるが、浜西はこの生活サイクルだからこそ強くなったと自負している。 「競技だけをしているとたくさん時間ができてしまうけれど、限られた時間であればできることをやろうという発想になる」 現在は午前5時30分から朝練習に励み、東京・足立区の舎人公園周辺や東武伊勢崎線沿いの道を約20キロ歩く日もある。「日々の生活で時間の有限性を意識するようになった」と実感する。 大阪・履正社高で競歩を始めた頃は「五輪が夢なんて言えなかった」というが、働きながらでも夢をつかむことができると証明してみせた。日本の競歩勢は16年リオデジャネイロ五輪から2大会連続でメダルを獲得。この夏も活躍の期待が懸かるだけに、胸には使命感が宿る。 「日本の競歩は強いと示さないといけない」 スーパー店員のウォーカーが、パリで夢の続きを描く。【藤塚大輔】 ◆浜西諒(はまにし・りょう) 2000年4月24日、大阪・豊中市出身。豊中市立第四中で陸上競技を始め、履正社高で競歩と出合った。高2時の17年アジアユース選手権1万メートル競歩代表。高3時の18年福井国体では少年男子共通5000メートル競歩で優勝。明治大を経て、23年からサンベルクス所属。幼少期から阪神を応援しており、初めて買った選手のユニホームは新井貴浩(現広島監督)。高校時代は1学年上に安田尚憲(ロッテ)、1学年下に井上広大(阪神)がいた。アイドルグループ「櫻坂46」のファン。身長171センチ。 ◆パリ五輪の競歩代表 男子20キロ代表は浜西に加え、池田向希(旭化成)、古賀友太(大塚製薬)、女子20キロ代表は藤井菜々子(エディオン)、岡田久美子(富士通)。パリ大会から採用される混合競歩リレーには、20キロ競歩との2種目で代表入りの岡田に加え、川野将虎(旭化成)、高橋和生(ADワークスグループ)、柳井綾音(立命館大)が出場する。