中国の科学者、宇宙で最も高いエネルギーのガンマ線を発見
【東方新報】中国科学院高エネルギー物理学研究所(IHEP)の中国人科学者たちが25日、宇宙の極めて光り輝くガンマ線バーストから最大3700万電子ボルトのエネルギーを持つガンマ線を発見したと報告した。 IHEPが「環球時報(Global Times)」に提供した情報によれば、このガンマ線はこれまで観測されているスペクトル線の中で最も高いエネルギーのものだという。 科学者たちはまた、ガンマ線が時間とともに「べき乗関数」の法則に従って進化することを発見し、このスペクトル線の謎を解明する重要な手がかりを得た。 彼らの論文は、25日に「中国科学:物理学 力学 天文学(Science China Physics, Mechanics & Astronomy)」誌のカバーストーリーとして掲載された。 同誌の熊少林(Xiong Shaolin)青年編集委員は「この発見は『ガンマ線バースト』と『相対論的ジェット』の謎を解明する新たな重要な手がかりとなり、『ガンマ線バースト』研究における画期的な出来事だ」と、その意義を強調している。 ガンマ線バースト(GRB)は宇宙で最も強いエネルギーの爆発現象で、「大質量星」のコアの崩壊か、または「中性子星」のようにコンパクトに凝集され質量が非常に大きい星やブラックホール同士の衝突によって発生するものだ。 IHEPの話によれば、今回の発見は、「大質量星」のコア崩壊のケースで、2022年10月9日に地球に到達し、世界中の多くの望遠鏡によって観測された、「GRB 221009A」と名付けられた、いわゆる史上最も明るいガンマ線バーストに対してなされた発見だったという。 IHEP、中国科学院雲南天文台、河北師範大学(Hebei Normal University)、貴州師範大学(Guizhou Normal University)の四つの研究機関の研究者たちは共同研究チームを結成し、「GECAM-C」と「Fermi/GBM」と名付けた二つの宇宙ガンマ線モニター装置の観測データの包括的な分析を行った。 中国科学院が資金提供した「GECAM-C」はこのガンマ線バーストの低エネルギー帯のスペクトルを正確に測定し、「Fermi/GBM」はガンマ線が現れた高エネルギー帯をカバーした。 IHEPは「このバーストは極度に明るかった(短時間の間に放出されたガンマ線光子が多すぎた)ため、『Fermi/GBM』はバーストの明るい部分でデータロスに見舞われ、信頼性の高いデータ解析が非常に困難になった。一方『GECAM-C』の方は専用に設計された装置のおかげで、そのような問題は発生しなかったので、「GECAM-C」のデータが「Fermi/GBM」のデータを補正するためにも使用された」と説明している。 非常に難しかったデータの問題点の分析、装置の効果、バックグラウンドのモデリングなどの努力を経て、研究グループはガンマ線バーストの信頼できるスペクトルを導き出した。 さらにバーストの明るい部分で検出された3700万電子ボルトまでのエネルギーを持つ驚くべきガンマ線を含む、バースト全体を通しての一連のガンマ線を特定することに成功した。 興味深いのは、スペクトル線エネルギーは時間に対して「べき乗関数」で変化するが、線の幅とスペクトル線エネルギーの比はほぼ一定であることがわかったことだという。 IHEPは「このような特徴は、これらのガンマ線の実在性とガンマ線バーストの起源の確かな証拠となる。今回の発見はガンマ線バーストとその相対論的ジェットの物理学に対して新しくユニークな光を当てるものだ」と解説している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。