スーパーモデルブームを起こした彼女らに迫る。「ザ・スーパーモデル」は何を語るのか?
次は、ナオミ・キャンベルについて。 4人の中で私が唯一生を見たことがあるのがナオミで、ステラ・テナント死去の際にブログで「ステラが出演した2020年春夏のサンローランのショーで、ナオミ・キャンベルはもったいぶった足取りで大御所感を出しながらフィナーレを飾った」と書いていたように、自信過剰なイメージがあってあんまり良い風には思っていなかった。いやしかし、それは彼女がブームが終わってもコンスタントに活躍しているから私が遭遇できているのであって、番組を見ると、人種差別にも屈せず努力の末に勝ち取っている立場であることがわかった。最新24年春夏ドルチェ&ガッバーナのフィナーレで50代にしてボディラインをキープし、堂々と歩く動画はさらに説得力がある。残念ながらパリで姿を見ることはできなかったが、ナオミさま、あっぱれです。今後は心を入れ替えて応援します。
最後はリンダ・エヴァンジェリスタについて。 ぶっちゃけ、US&UK版「VOGUE」9月号の記事を見て一番気になっていたのがリンダだった。写真は不気味なくらい加工してあるが、舞台裏の動画を見て顔のラインの崩れに衝撃を受けていたのだ。記事にもなっていたように2016年に美容整形手術に失敗したこともあっての姿で、番組ではそのことについても赤裸々に語っている。「多様性」なんて言葉は見当たらなかった1980~90年代、ひとつの「美」の価値観を押し付けられていると、老いを受け止められない人も出てくるのだろう。「美」にこだわったからこそ、4人の中で一番不自然な姿となっているリンダが何だか哀しかった。意外にかわいらしい声で、ところどころに心許なさが感じられる人柄も垣間見えたりして余計いたたまれない。 といったわけでとりいそぎ心に残ったベスト3を挙げてみたが、本当に盛りだくさんで「ギャラが1日1万ドル(円安の今なら約150万円!)以下ならベッドから出ない」といったスーパーモデルにまつわる逸話や4人は本当に仲良しなんだとか、有名デザイナーや写真家との蜜月関係とか見どころはいろいろある。ファッション好きならビンジウォッチング間違いなしです!
<栗山愛以> ファッションをこよなく愛するモードなライター/エディター。辛口の愛あるコメントとイラストにファンが多数。多くの雑誌やWEBで活躍中。