「60歳代で貯蓄4000万円以上を目指すのは無謀でしょうか」セカンドライフへの準備方法【貯蓄の一覧】
セカンドライフを考える前に知っておきたい老後の「収入と支出」
前章では、シニア世代の貯蓄実態として「貯蓄格差」が広がっていることがわかりました。 貯蓄が全くない世帯でも、毎月の支出を収入だけで補えていれば、問題なくセカンドライフを送れるでしょう。 では、老後の平均的な収入と支出はどのようになっているのでしょうか。 本章では、老後の「収入事情」と「支出事情」について詳しく解説していきます。 老後のリアルな収支事情を理解したうえで、今一度セカンドライフを迎えるまでに何を準備すべきかを考えられると良いでしょう。 ●老後のリアルな収入事情 老後の大きな収入源は「老齢年金」となるため、事前に老後に受け取れる年金額を確認しておけると良いです。 厚生労働省年金局の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60~69歳の老齢年金の平均受給額は【図表2】のようになりました。 65歳~69歳の厚生年金の平均月額は「14万3613円」、国民年金では「5万7739円」となっています。公務員や会社員は厚生年金が受け取れますが、そうでない場合は国民年金のみの受給となります。 夫婦ともに厚生年金を受給できれば老後の収入は月28万円ほどとなり、支出を抑えれば年金だけで生活していける可能性があります。 一方で夫婦ともに国民年金の場合は、月の収入が10万円ほどとなるため、年金だけで生活していくには難しいでしょう。 なお、60歳~64歳の平均月額が65歳以降よりも少ない理由として、「繰上げ受給」が関与しています。 現在日本の老齢年金制度は、原則65歳から受給が開始されますが、65歳よりも早めに年金を受給したい場合は、最大60歳まで受給を早められる「繰上げ受給」が可能です。 しかし、繰上げ受給をすると、受け取れる年金受給額が減額されることから、60歳~64歳の平均月額が低くなっているのです。 繰上げ受給で減額された場合、65歳以降も減額率が一生涯適用されるため、繰上げ受給の検討は慎重に行いましょう。 ●老後のリアルな支出事情(夫婦世帯) 老後の収入が多くても、その分支出が多ければ、老後生活が赤字の日々となり得ます。 では、一般的な老後の生活費は平均いくらくらいなのでしょうか。 総務省の「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦無職世帯の家計収支は【図表3】になりました。 ●老後のリアルな支出事情(単身世帯) 総務省の同資料によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は【図表4】になりました。 65歳以上の夫婦無職世帯・単身無職世帯の平均支出は「23万6696円」「14万3139円」となっており、ともに毎月約2万円前後の不足が生じています。 なお、国民年金の場合は、厚生年金よりも受給額が半額以下になることから、上記の不足金額よりもさらに増える可能性も大いに考えられます。 ライフスタイルによって支出額は変動しますが、平均的な支出額を参考にご自身の老後のセカンドライフのシミュレーションをしておけると良いでしょう。