増加する◯◯ハラスメント、他者を尊重しリスペクトを
このごろ、◯◯ハラスメントという言葉がやたらと増えてきた。近ごろでは、部下が上司にパワハラだとやたら咬みつく「逆ハラ」なんて言葉も存在する。もう世の中、ハラスメント縛りで身動きがとれない感じだ。そんな状況をみんなはどう考えているのか。 さまざまな社会課題を話し合う「Surfvote」(サーフボート)は、「◯◯ハラスメントの種類の増加」に賛成か反対かという公開討論を実施した。更年期で苦しむ人たちをサポートする「ちぇぶら」の代表、永田京子氏が提起した「イシュー」(議題)に多くの意見が寄せられている。中間発表の時点では、賛成が15.8パーセント、条件付きで賛成が13.2パーセント、どちらともいえないが26.3パーセント、条件付きで反対が13.2パーセント、反対が28.9パーセント、わからないが2.6パーセントだった。 賛成の人たちは、些細に思われがちな嫌がらせや迷惑行為を明確化できる点で有効だという。悪質なハラスメントは厳格に規制すべきなのは当然だ。一方、反対の人たちは、なんでもハラスメント化して種類を増やすより、どこからハラスメントになるかという線引きや、相談や話し合いの場を設けることが重要との意見だ。 「どちらともいえない」では、ハラスメントには認めるべきものと独善的なものとがあり、個々のケースで考えるべきであり、賛成か反対かは表明できないという意見があった。 パワハラやセクハラのように法令で禁止されているものをはじめ、現在、ハラスメントは、モラハラ、マタハラ、アルハラなど57種類にものぼるという。ブーム化している面もあり、面白半分に「独善的」な◯◯ハラが増えていくことも予想される。不愉快な行為を一方的に禁じれば物事は丸く収まるのか。この議論に寄せられた「条件付きで反対」する人の意見が、注目に値する。 「他者を尊重しリスペクトを持って接する人たちが増えてくるとハラスメントはなくなると思う」 お互いの気持ちを思いやれない希薄な人間関係が、この◯◯ハラ現象を引き起こしたとも言える。「ギスギスした社会」を言語化すると、無数の◯◯ハラになるのだろう。◯◯ハラが増えればコミュニケーションは萎縮し、さらに人間関係が浅くなり悪循環が進む。
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