祖父に「自分に万一のことがあったら」と、銀行口座の「暗証番号」を教わりました。家族であれば、本人以外が引き出しても大丈夫でしょうか?
祖父母などから、「自身の葬儀費用」として、銀行口座の管理をお願いされた場合、何も考えずに引き受けてしまって良いのでしょうか。資金管理を任されるのは信頼の証でしょうが、注意すべき点があります。 本記事では、資産管理を託した本人が亡くなった後という状況を前提に、故人の資産管理の注意点を解説します。ぜひ参考にしてください。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
家族の口座でも慎重に扱うべき
結論として、家族の口座であったとしても資金管理は慎重に行うべきです。遺産分割・遺産相続が完了する前に、故人の意向通り「葬儀費用」としてお金を引き出した場合でも、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。ここでは代表的な例を2つ紹介します。 ■親族間のトラブル 1つめの注意点が「親族間のトラブル」です。葬儀費用としてお金を引き出したとしても、「相続財産を勝手に引き出した」と、親族からあらぬ疑いをかけられる可能性もあります。 もちろん、葬式費用の領収書を取っておくなど、証跡を残せば安心ですが、もし適切に対応できなかった場合、事情を知っている故人はもういないため、トラブルに巻き込まれてしまうこともあるでしょう。 ■相続財産および相続税計算上のトラブル 2つ目は相続財産および相続税計算上のトラブルです。 相続が発生した際には、故人の財産の総額を計算し、相続税の計算を行うことになります。 葬式や葬送に際し、火葬や埋葬、納骨をはじめとする葬式費用は、相続財産から控除することができます。しかし葬式費用の領収書を残していなかった場合、資金使途を証明できないことになります。 故人の口座からお金を引き出した事実は、親族間で正しく共有するとともに、葬式費用の領収書はしっかりと残しておきましょう。
口座凍結に関する注意点
ここからは、関連した注意点として、口座凍結について触れます。 故人の口座からお金を引き出す場合、銀行に口座名義人が亡くなったことを伝えた場合、銀行口座は「凍結」されてしまいます。銀行員も口座名義人死亡の事実を知ってしまったからには、当該口座がトラブルに巻き込まれないように、凍結せざるを得ないのです。 一度口座が凍結されてしまえば、基本的には遺産相続手続きを完了するまでは引き出しができなくなってしまいます。口座凍結には十分注意しましょう。