『梨泰院クラス』『ヴィンチェンツォ』『私の解放日誌』など。心を震わす名作韓ドラには“22人分”の秘密があった!
ヒューマンとロマンスの配分が絶妙な『その年、私たちは』、『私たちのブルース』
個人的にもすごく好きな『その年、私たちは』も掲載されています(P223)。脚本家は、1993年生まれで本作が長編デビュー作となったイ・ナウンさん。ナウンさんのインタビュー記事を担当されたキム・ヒョシルさんも語っていますが、まさに「すごい脚本家が現れた!」と度肝を抜かれるような作品でした。「王道の青春ロマンスの見せ方はもう出尽くしたよね」と思っていたところに、まだこんな演出があったのか!と思わず膝を叩くような不思議な空気感が漂うドラマに仕上げてきたんですよね。実力派俳優チェ・ウシクとキム・ダミ(映画『THE WITCH/魔女』で共演。しかしその時は敵役)が無名の新人作家のドラマに出演!?と、キャスティング発表時点から騒がれていたくらい、ビッグニュースでした。が、今となってはこのふたりが心惹かれた脚本なのだから、そりゃあ名作だよね……と感じます。 ヒューマンドラマ好きであれば問答無用に観てほしいと切に願うのが、こちらの『私たちのブルース』(P23)。本に取り上げられている脚本家のなかでも崇拝する人が多い、大御所脚本家ノ・ヒギョンさんの作品です。側から見て「え、この人も出演するの?」と驚くような、これまであらゆるドラマで主演を張ってきたような俳優たちが大集結しているんですね。それだけでも名演技が炸裂することは想像に易いかと思いますが、登場人物全員への愛を感じられるような作品です。誰も蔑ろにしない、大切に描きたい、という思いがきちんと伝わってきます。ひとつのブレない軸のなかで描かれるオムニバス形式。世代関係なく、心に刺さるキャラクターやエピソードが必ずあるはずです。 原稿を書く手が止まらず、このままいくと朝までタイピングし続けてしまいそうなので……この辺りにしておきたいと思います(苦笑)。「より良い社会にしたい」「視聴者の心を震わすドラマにしたい」と試行錯誤する22人の脚本家たちが紡ぐ言葉を前に、このドラマも、あのドラマも見直さなければ!という使命感に駆られています。時間がいくらあっても足りない……!! 【エディターKISHI】