IPA、異なる組織・異業種間でデータを共有する「データスペース」を解説するガイドブックの第1.0版を公開
独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は13日、一般的なデータ利活用だけでなく、異なる組織・異業種間でデータを共有する「データスペース」の利用手順やその内容を解説した「データ利活用・データスペースガイドブック第1.0版」を公開した。データをサービス展開などの事業に活用したい企業の経営層・CDO(Chief Data Officer: 最高データ責任者)や、事業部門、IT部門の担当者が参照することで、経営戦略策定からIT戦略・企画策定、データスペースの運用、評価までの8フェーズを包括的に理解し、実施できるとしている。 IPAでは、社会や経済のデジタル化が進む中、蓄積された「データ」は「資産」として製品やサービスの質を高め、新しいビジネスモデルや価値を創出するための鍵となっていると説明。また、異なる組織間のデータ共有の促進、データ主権の保護、信頼性の高いエコシステムの構築といったニーズも急速に高まっており、組織の垣根を越えてデータを共有する「データスペース」の概念が広まっているとしている。 IPAはこれまでも、「DX実践手引書」や「データスペース入門」などで、データ利活用の基礎知識や考え方について紹介してきた。今回、それらの内容を踏まえ、組織がデータスペースを活用する場合の具体的な手順や、担当者が「すべきこと」を8フェーズに分類し、包括的に解説した「データ利活用・データスペースガイドブック第1.0版」を公開した。 同書は、データスペースの利用手順として8フェーズの全体像をプロセス図で示した上で、データをサービス展開などの事業に活用したい読者を「データ利用者」、データを提供したい読者を「データ提供者」として定義し、それぞれのタスクを明示している。また、経営層・CDOや事業部門、IT部門が果たすべき役割も明確化し、各章の冒頭で、タスクを主導すべき担当者や関与の度合いをイラストで示している。 第1.0版ではまず、「データ利用者」向けのタスクを先行して詳述している。「データ提供者編」は、近日公開予定。 IPAでは、同書が多くの組織に参照されることで、データ利活用やデータスペースの普及が進み、イノベーションの創出や競争力の強化につながることを期待するとしている。
クラウド Watch,三柳 英樹