渋沢栄一の書を見に来て 黒部・宇奈月温泉「延対寺荘」に高岡宿泊し詠んだ和歌
黒部市宇奈月温泉の旅館「延対寺荘」は、新1万円札の肖像となった実業家、渋沢栄一が記した書の展示を始めた。渋沢が、高岡市にあった前身の料理旅館に宿泊した後に書いた和歌で、新紙幣発行を受けて宿泊客らが見られるようにした。 延対寺荘は1900年、高岡で料理旅館「延対寺旅館」として開業した。その後25年に宇奈月別館として現在の延対寺荘が設けられた。現在は宇奈月温泉のみで営業している。 渋沢は高岡の政財界で活躍した木津太郎平と親交があり、18年に延対寺旅館に宿泊。その後和歌を記した扇面を届けたという。扇面は創業家で保管されていた。 現在の支配人、延対寺駿さん(33)が新紙幣発行を受け、自宅に飾られていた扇面を旅館の展示ケースに並べた。「高岡にその名もたかき延対寺 歌舞のほさつ(菩薩)のいろそろへかな」などと、旅館で芸者の舞を目にした感想が記されている。 宿泊客や日帰り入浴の利用者が見ることができ、延対寺さんは「渋沢との関係や旅館の歴史を感じてもらえるといい」と話している。渋沢の書はもう1点、書幅もあり、延対寺荘は今後の展示を検討している。