鹿児島・日置市5人殺害事件 岩倉知広被告 控訴審始まる 一審では死刑判決
鹿児島テレビ
注目の裁判のニュースです。 2018年に鹿児島県日置市の住宅で男女5人が殺害されました。あまりに衝撃的な事件で今でも覚えている方も多いと思います。 父親や祖母ら5人を殺害したとして、殺人の罪に問われた岩倉知広被告に、一審の鹿児島地裁が言い渡したのは死刑判決でした。 弁護側の控訴を受けて、30日から福岡高裁宮崎支部では控訴審が始まり、一審判決後に被告を精神鑑定した医師が、事件当時、被告は統合失調症を患っていたと証言しました。 坂口輝記者リポート 「岩倉被告を乗せたとみられる車両が、いま裁判所に到着しました。一審の死刑判決から4年、いよいよ控訴審が始まります」 30日朝、福岡高裁宮崎支部に入った1台の車。 殺人と死体遺棄の罪に問われている、岩倉知広被告が乗っていたとみられています。 衝撃の事件が起きたのは今から6年前の2018年。 日置市東市来町湯田の住宅で男女5人が首を絞めて殺害されました。 住宅では3人が遺体や心肺停止の状態で発見され、近くの裏山には2人の遺体が遺棄されていました。 山で見つかったのは、この住宅の主で岩倉被告の祖母、久子さん、父の正知さん。 そして住宅で見つかったのは岩倉被告の伯母の孝子さん、伯母の姉の坂口訓子さん、岩倉被告と同じアパートに住んでいた後藤広幸さんでした。 小言を言われたことに腹を立てた岩倉被告は、祖母・久子さんに暴行を加え、それを止めようとした父・正知さんも殺害した後、安否確認に訪れた3人を次々に殺害しました。 領家卓裕記者リポート 「岩倉被告を乗せたとみられる車が鹿児島地裁に到着しました。事件発生から2年半あまり、岩倉被告は法廷で何を語るのでしょうか」 2020年に始まった岩倉被告の裁判員裁判。 「伯父や祖母から悪質な嫌がらせを受け続けたことに我慢できなくなり、不満が爆発した」と大筋で起訴内容を認めていた岩倉被告。 裁判の最大の争点は岩倉被告の責任能力です。被告が事件当時患っていたとされる精神障害が事件に与えた影響の程度を巡り、検察側、弁護側の意見が対立します。 検察側 「精神障害が事件に与えた影響は軽微か全くない」 弁護側 「影響は大きく、事件当時は心神耗弱の状態だった」 9回の公判を経て一審・鹿児島地裁が出した判断は「精神障害の影響は否定できないが、その程度は軽微」。 県内の裁判員裁判で初めて死刑判決が下されました。 それから4年、そして事件からは6年以上が経過し、30日から始まった控訴審。 開廷予定より7分遅れた午前10時7分。 法廷に姿を見せた、上下緑のジャージ姿の岩倉被告は、長く伸ばした髪を後ろで束ね、少し回りを見渡す様子が見られました。 裁判長の問いかけには素直に名前を名乗り、公判が始まってからは無表情で正面を見続けていました。 今回も裁判の争点は岩倉被告の責任能力です。 30日は一審の判決後に、新たに岩倉被告の精神鑑定を行った医師が出廷し、被告には事件当時、妄想や幻覚があり、統合失調症だったと証言しました。 そのうえで統合失調症が与えた影響は犯行ごとに異なるとしながらも、妄想によって現実的な考えと、病的な考えを明確に切り分けることが極めて困難な状況だったとしました。 次の公判は12月24日に予定されています。
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