「闇バイトに申し込んだ…」“闇バイト強盗”首謀者の特定は…“リクルーター”初逮捕
■実行役の“リクルーター”初逮捕
闇バイトに応募する者がいる一方、闇バイトを募集する者の実態は明らかになっていませんでした。今回、一連の強盗事件で初めて“リクルート役”とみられる男が逮捕されました。 名倉優也容疑者(31)は、闇バイトに応募してきた3人に先月、所沢市で起きた強盗事件をそそのかした疑いが持たれています。SNSで「ホワイト案件」などと募集していました。 逮捕のきっかけは、3人のスマホに残る秘匿性の高いアプリの解析に成功したことでした。しかし、名倉容疑者の逮捕は、これまで起きていた闇バイトを使った“トクリュウ事件”以上に、組織が細分化されている現実を浮き彫りにしました。 “トクリュウ事件”はこれまで、事件の首謀者がトップにいて、末端の実行役との間に人集めから実行役に指示をする指示役がいるという構図が一般的でした。つまり、リクルーターは幹部と呼ばれる指示役が担うことが多かったのです。しかし、名倉容疑者は現時点で、幹部とは思えない供述をしているといいます。警察によりますと、名倉容疑者はSNSを通じて闇バイトに申し込み、リクルート役を担っていたといいます。 名倉優也容疑者 「消費者金融に数百万の借金があった。金に困ってやった」 名倉容疑者は、愛知県知多市で母親と2人で暮らし、県内の食品工場で働いていたといいます。 名倉容疑者の同級生 「真面目な方だと思うし、色んな人に優しい性格だった。(Q.問題行動は)全然全然。そんな目立つようなことはなかった」 名倉容疑者の同僚 「100人以上いる会社のリーダーのうちの1人。人柄もよくて仕事ができる印象。生活に困らないほどの給料はもらっていたはず」
■勧誘の音声「バットを持って…」
闇バイトにどう誘いこむのか、あるリクルーターの実際の音声があります。闇バイトの実態を調査している会社が入手したものです。 リクルーターA 「単発の仕事だと例えば運転、運び系の仕事。1回5万円ぐらいの仕事。簡単な“運び”なんですけど」 応募者B 「運ぶ物はあれですか、グレーな感じ?」 リクルーターA 「え~と正直グレー。現金、個人情報書類、薬物、この3点のどれか。その分、報酬は5万円とわりかし高めになっている」 3日に四街道市の強盗事件で逮捕された金子容疑者は、SNSの闇バイトに応募した際「詐欺師から現金を奪い取る仕事。相手は詐欺師だから警察は呼べない」などと聞かされたと供述しているといいます。リクルーターの音声でもまさに同じ手口を使っていました。 リクルーターA 「あとは一発30万円とかの仕事もある。いわゆる詐欺のお金、詐欺したお金があるじゃないですか。それを持ってトンズラこいちゃったやつがいる。変な話、手を出しちゃっても問題はないような相手なんで。わざと例えばバットとかバール持ってもらうんですよ。もし抵抗してきたとしても、払わないとか、それはそれで別に手を出したりしてもらっても構わない。こちらとしては物を回収してくれれば何でもいい」 応募者B 「強盗みたいな感じになっちゃう?」 リクルーターA 「いや強盗にはならない。そもそも僕らの物なので」 リクルーターとみられる名倉容疑者を勧誘したのが誰かは分かっていません。しかし、指示役とみられる人物とのメッセージは残されていたといいます。警察は、名倉容疑者の他の事件への関与を調べるとともに、スマホの解析を行い、首謀者や指示役の特定を進めています。