いまの100万円を10年後、1400万円に増やす方法とは…バフェットが「複利効果」と「ゴールに着くことの重要性」を説くその理由
70年以上「成功」を再現してきたバフェット
世の中で、投資で成功する人々は決して少なくない。だが、その多くは一過性のものである。辛口の表現で言えばまぐれ当たりである。株価が上がるか下がるか(価格が動かない場合は考慮しない)を言い当てる確率は、基本的に50%である。だから3回あるいは5回とまぐれで言い当てることは決して珍しくない。 だがバフェットは、11歳の時から90歳を超える現在に至るまで80年あまり。明確に「勝利の方程式」を師匠のグレアムから学んだ時から数えても70年以上、「勝ち続けてきた」といえる。ときおり、弘法も筆の誤りならぬ「バフェットも投資の誤り」もあったが、バフェットの成功をまぐれということはできない。明らかな実力である。 また、かなり昔のことになるが、バフェットが若かりし頃「バフェットはまぐれ当たりさ!」という批判に対して、ベンジャミン・グレアムの薫陶を受けた人々(通称「グレアム村」)の人々の目覚ましい成功を引き合いに出して「同じやり方をする投資家のすべてが成功するのは偶然ではない」と反論した。 実際、彼らの運用成績はバフェットに並び立つほどのものであった。だが、彼らは「一生遊んで暮らせる」以上の資産を手に入れた後、引退したためバフェットほどの資産を築かなかっただけである。 投資市場には、4月3日公開「バフェットの警鐘『ヘビの油売りに気をつけよ」の意味~投資で成功するためには『自分の範囲』を見極めることだ」で述べたような「怪しげな儲け話」が転がっている。だが、それらの話に「再現性」が無いのは当然だ。もし儲かったとしても、それはたまたま、サイコロの出目を(偶然)言い当てただけに過ぎない。 だが、彼らは「偶然当たった」ことを証拠に「確実なもうけ話」を持ち込んでくるわけである。
今の100万円?10年後の1400万円?30年後の26億円?
最後に、バフェット流の中核ともいえる複利効果と「ゴ―ルに到達する重要性」との関係について述べたい。 複利効果の驚くべき成果は、拙著「勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす」の第6章「毎日コツコツでも5年ごとの複利効果で驚くほどの資産に!」156ページ 図表8「100万円複利計算表」などを参照いただくとよくわかる。 年間30%で運用すれば、今の100万円が10年後には約1400万円、30年後には約26億円に増えるのだ。 ただし、この複利効果を最大限に得るためには、「毎年安定的な利益を維持」することが重要だ。もし、大恐慌やリーマンショック級の暴落で大損をすると、それまで積み上げてきた複利効果が台無しになり、「低いスタート台」から再び発進しなければならない。 さらに、多額の信用取引をしていた場合などは「お手上げ」となる。そして市場から退場を迫られ、二度と復帰できないなどということにもなりかねない。 特に複利効果を活用する場合、失敗の埋め合わせは大変な作業だ。バフェットが冒頭のインディ500の勝者の言葉を持ち出すのも、「直線コースだけぶっ飛ばす」だけでは最終的なレースに勝てないということを示唆する。 バフェット流のすごさは、直線コースよりもコーナリングでよくわかる。スピードを出し過ぎたドライバーがコーナーで次々クラッシュしても、バフェットは軽やかなハンドルさばきで走行を続け「ゴ―ル」する。 そして、バフェット流では複利効果が最大限に生かされるから、ゴールするだけで前述のような巨万の富を得ることができるのだ。 途中でクラッシュしてゴールしなければ、この驚くべき複利効果を得ることができない。バフェットが「ゴ―ルすることの重要性」を強調するのも当然だ。 なお、実際の投資に当たっては、「大原浩の逆説チャンネル<第15回>バフェット流の真髄は『安く買って高く売る』これがわから無い人がほとんどだ。(バフェット流の真髄その1)」などを参照の上、自己責任で行っていただきたい。
大原 浩(国際投資アナリスト)