ミュージカル『この世界の片隅に』原作者が稽古場を初訪問 主人公すずの名前の由来明かす
日生劇場で5月9日に開幕するミュージカル『この世界の片隅に』の稽古場に原作者のこうの史代さんが訪れ、主演の大原櫻子さん(28)、昆夏美さん(32)、音楽を担当したアンジェラ・アキさんと作品、ミュージカルの魅力を語り合いました。 【画像】アンジェラ・アキ、10年ぶりに日本での音楽活動を再開 「ミュージカル音楽を一生作り続けていきたい」
■原作者に聞く、主人公すずの誕生秘話
原作を初めて読んだ際に、戦争を扱いながらも温かい空気が流れているところに心が打たれたと語った昆さん。いま気になっているのは、すずの表情だと言います。「分かりやすく笑ったり怒ったりしている時もあれば、もっと奥深い表情をしている時もあることに気付いて、どう自分の中に落とし込んだらいいかを考えながらお稽古しています」と演じる上での難しさを話しました。 同じくすずを演じる大原さんがこうのさんに、すずを“ボーっとした”キャラクターに設定した理由を聞くと、「そのほうが、この時代と場所に馴染みのない読者でも、物語に入り込みやすいと思ったんです。主人公が最初から呉でチャキチャキ頑張っている人だと、会話の中で状況を説明する隙がないですよね。でもよそから来たボーっとした人が主人公なら、主人公が周りの人たちに色々と質問をして、それに答える形で状況の説明ができるんです」と明かしました。
また、登場人物のすずやリンなど、キャラクターの名前が元素名から取られていることに関しては、「キャラクターの名前って、自分の思いつきだと似通ってしまうから、系統を立てて考えることが多いんです」と話したこうのさん。続けて、「最初は呉の地名にしようかと思ったのですが、呉には硬い地名が多いんですね。悩んでいた時、たまたま近くに周期表があったので、これを使おうと(笑)たくさんある元素の中で“すず”を主人公にしたことには、私が飼っていたインコの“すずしろ”が関係しています。ある時いなくなってしまったのですが、どこかでずっと元気にしていてほしくて、新天地で頑張る主人公にその思いを込めたんです」と自身のエピソードも交えて語りました。 自身の作品がミュージカルになることについては「自分の漫画がミュージカルになるなんて夢のようで、アンジェラさんの歌われたデモテープも感動しながら聞かせていただきました」と話しました。