パリ五輪後、錦織圭と大坂なおみの現在地とこれから
錦織も大坂も、実質ランキングと向き合わなければいけない
嬉しいことに錦織は、デビスカップ日本代表メンバーに選ばれた。デビスカップメンバーに名を連ねるのは、2020年3月のエクアドル戦以来、約4年5カ月ぶりだ。日本のテニスファンは、久しぶりに錦織のプレーを目の前で見ることができるかもしれない。錦織は、34歳になりキャリアの終盤にさしかかっているがくれぐれも焦りは禁物だ。体のコンディションを整えることを最優先にしながら、今季終盤や来季にかけて続いていく重要な戦いで勝利をできるだけ積み重ねていけるようプレーしていってほしい。的確な判断を下しながら少しでも長くプレーを続けてほしいし、再びツアーやグランドスラムで活躍する姿を見たい。 大坂は10月に27歳になるが、選手としての時間はまだまだある。それこそ焦りは禁物で、ワールドプロテニスの進化を大坂が体感できたことだけでも十分に意味のある2024年シーズンなのではないだろうか。 以前トップレベルにいた錦織と大坂のベースにあるのは、常により良いテニスをしていきたいという思いだろう。ただ、今後2人共に、救済措置がなくなった実質ランキングと真摯に向き合わなければいけないのも事実だ。これは、プロテニスプレーヤーなら誰一人例外はなく、当たり前のことだが、より高いランキングがなければ、ツアーでグレードの高い大会やグランドスラムで戦えない。錦織はまずトップ100に戻ることが必要だし、大坂はトップ10に戻りたいと心のどこかで思っているはずだが、目標達成までにはもう少し時間を要することになりそうだ。 そして、われわれは、今も錦織と大坂のテニスを見ることができる幸せを改めてかみしめるべきなのではないだろうか。
神 仁司