【日本ハム】清宮幸太郎 2025年の目標は「30発」で日本一!…「獲れるタイトルは全部獲る」…新春単独インタビュー
日本ハム・清宮幸太郎内野手(25)が2日、スポーツ報知の新春単独インタビューに応じ、2016年以来の日本一へ「獲れるタイトルは全部獲る」と決意表明した。昨季は夏場から猛打を振るい、打率3割、15本塁打で6年ぶりのAクラス入りに貢献。飛躍を支えてきた清宮流のメンタル術を明かし、8年目を迎える今季こそ「30発」の大台に乗せることを誓った。 (取材・構成=堀内 啓太) ***** ―あけましておめでとうございます。16年以来のリーグ優勝、日本一を狙う今季。「リーグMVP」のタイトルをはじめ、主役を奪う気持ちで満ちているのでは。 「欲しい。獲れるタイトルは、全部欲しいです。全試合に出て、結果を出し続けて、チームに貢献する。2位の次は日本一しかない。(そのためにも本塁打)30本を打ちたいです」 ―昨季は左足首の捻挫で出遅れ、規定打席に届かずも89試合で初の打率3割、7月以降だけで15発を放って51打点と後半爆発した。 「前半何もできなかったので採点は70点ぐらい。悔しさ、もどかしさがあったので。ただ後半は、本当にプロに入ってから(状態が)一番いい期間でした」 ―周囲からは「覚醒」と言われている。 「(首を振って)これまでの全ての経験が生きてのこと(成績)なので。この先まだ良くなるし(完成の)途中だと思っていますけど、過去には練習のしすぎで逆にパフォーマンスが落ちたこともあった。7年間の色々な経験を学びにして今の僕があると思っています」 ―春季キャンプイン直前のけがから始まった24年。リハビリ期間や2軍にいる間「弱音は一切聞かなかった」とチーム内の複数人が驚いていました。 「僕は言霊を意識していて、口から発する言葉にはエネルギーがあると思っています。少しでも前向きに、プラスに働くようにと考えているので、それですかね」 ―注目を浴び、重圧と戦い続ける野球人生で、超ポジティブ思考を貫いている。その性格、考え方の原点は。 「父親(現日本ラグビーフットボール協会副会長の克幸氏)だと思います。僕が小さい頃、父はずっとラグビーの、勝負の世界で戦っていた。当時、父は負けて帰ってきても絶対、家庭にそれを持ち込まなかった。家ではすごく明るかったんです」 ―父から直接的な教えもありましたか。 「その姿を見て育って『過去を振り返って(結果が)変わるならいくらでも振り返るけど、変わらないものをいつまでも引きずっていても仕方ないだろ』と。その言葉が今も響いています。父が悩む姿や落ち込む姿を自分は見たことがなかったので」 ―好結果を生む背景には抜群の切り替え力がある。 「野球は特に、切り替えのスポーツだと思っています。7割が失敗で、いかにその失敗から多くを学ぶか。心の持ち方が大事なんです」 ―SNS全盛の現代で、誹謗(ひぼう)中傷やネガティブな声に左右されない“鈍感力”も自身の強みなのでは? 「実は僕も、気にはなるんです。ただ、それを見たら絶対に傷つくと分かっている。なのであえて遮断しています」 ―例を挙げるなら。 「試合でミスをする。振り返りで映像を見る時に(TV)解説の方が何かを言うとするじゃないですか。自分で猛烈に反省している時に、更に何かを言われたら“こたえる”ので、音量をゼロにして見たりするんです」 ―苦労してたどりついた“清宮流”の術(すべ)だと。 「単純に周りの声が気にならない、というよりは、そうコントロールしていて。YouTubeとかのコメントも全く見ないし、SNSのDM(ダイレクトメッセージ)も全然見ないのは、それが理由です」 ―24年は入団後初めて侍ジャパンにも選出されプレミア12に出場。4試合で15打数3安打、失策も記録するなど苦しんだが、得るものも多かったのでは。 「選んでいただいて心から良かったと思いました。全然試合に出られないその悔しさと、自分は実績、信頼がまだまだ足りないんだなと」 ―ほかの選手は違った? 「代表にいる人たちは何年もいい成績を出し続けて日の丸を背負っている。少し調子が悪くても『こいつならやってくれる』と送り出してもらえる。そういう信頼をもっとシーズンから自分がつくらなきゃいけないんだと思えました」 ―結果を残したレギュラーシーズン後に味わった代表での悔しさがオフの原動力になっている。 「大会通じて調子は良くなかったですけど、最後に練習でいい感覚をつかめた。25年につながる期間でした」 ―早実時代からメジャー挑戦への思いも明かしてきた。現在の心境は。 「もちろん、チャンスがあるなら行きたいです。でも僕の考え的には、やっぱりファイターズに貢献して、このチームで優勝がしたい」 ―恩返しがしたいと。 「(7球団に)競合された中でドラフトで取っていただいて、ここまで育てていただいて、僕はすごくこの球団が好きです。愛着があります。ファイターズでよかったなと思うし、エスコンというこんな素晴らしい球場で試合ができる。本当に球団に感謝しているので」 ―同学年のヤクルト・村上は今季が日本ラストイヤーとなる見込み。同じ左打ちの主砲への思い、感情は今。 「相変わらずすごい成績を残すのでね。それでも本人は(結果に)全然満足していないと思います。もし(来季、メジャーに)行くなら、もう一度(日本で)圧倒的な成績を残して行ってほしいなと思います。ただ、彼は彼、僕は僕なので。僕は僕のペースでやります」 ―昨年は打撃フォームでも手応えをつかみ、新たな景色が見え始めている。口にしてきた「新庄監督を男にする」の言葉を、今年こそ実現させたいですね。 「打ち方でつかんだ部分もあって、少し自信は出てきた。必要なのはそこを更に磨いていく作業。(チームも個人も)テッペンを獲りにいきます」 ◆清宮 幸太郎(きよみや・こうたろう)1999年5月25日、東京都生まれ。25歳。早実初等部3年でオール麻布に入団し、東京北砂リトル、調布シニアを経て、早実で1年春から「3番・一塁」。甲子園は1年夏4強、3年春2回戦。17年ドラフト1位で日本ハム入団。184センチ、94キロ。右投左打。家族は両親、弟。推定年俸8000万円。
報知新聞社