症状がなくても保湿、トラブル起こさない肌に~乾燥肌とかゆみにしっかりケア~
◇保湿しっかりで「かゆみサイクル」回さない
乾燥肌を放置し「かゆいからかく」を繰り返すとどうなるか。 「水分が失われると同時に皮膚のバリア機能が低下し、炎症を引き起こすと、少しの刺激でかゆみ神経が反応し、ますますかゆくなる悪循環『かゆみサイクル』が回り始める」と高山医師。 肌がカサカサしてきたな、といった軽い症状で済んでいるタイミングなら、まずは市販の保湿剤でケア。軟こう、クリーム、ローションなど、剤形はさまざまだが、選ぶポイントについて「想像以上にたっぷり使うので経済的に続けられ、使い心地が良く、塗り広げやすい製品を選ぶといい」(同医師)。 成分は、保湿力が強いセラミド含有がおすすめだ。ガサガサ感が強ければビタミンE、A、尿素などが入っているものもある。 日本皮膚科学会が提唱する保湿剤の量は、1回当たりの塗布量の目安として、軟こうだったら成人の人さし指の第1関節分(1FTU=finger-tip unit)が両手のひらの面積に相当する。ローションの場合は手のひらにだいたい一円玉大。片方の腕分で3FTU、背中だと7FTUなどと言われている。 かゆみ止めの薬には注意が必要だ。冷感作用があるメントールや、局所麻酔作用のあるリドカインなどが含まれているものは、皮膚のかぶれの原因になることも。 ステロイド剤を使用する際は、薬剤の強弱などを薬剤師と相談して購入し、1週間以上使い続けないことに留意する。高山医師は「塗ってすぐ治るのならいいが、塗り続けても改善しない場合は受診してください」。誤った使用を続けると、バリア機能をより弱めたり、免疫を低下させたりする恐れもある。必ず保湿剤と併用することが重要だ。
◇保湿を習慣にしよう
自宅でケアをしてみたが、よくならない場合、どうするか。高山医師は「ブツブツする、じくじくする、赤み、かき過ぎて傷だらけ、カサカサして皮がたくさんむける、などの症状が表れたら皮膚科医に見せた方がいい」とアドバイスする。かゆみで夜眠れない、途中で目が覚めてしまうなど、睡眠に支障を来した場合も、早めに受診してほしいという。 治療では、医療用保湿剤とステロイド外用薬、かゆみ成分を抑える内服の抗ヒスタミン薬などが処方される。用法用量を守り適切に使用すれば、2週間ほどで軽快するというが、高山医師は「油断すると再発するので、冬の間は気を付けることが大切。トラブルを起こさないためには、保湿を習慣化することが大事」と呼び掛ける。 洗濯物を室内に干したり、暖房の風が直接当たらないように設定したり、部屋の乾燥を防ぐのもいい。少し工夫すれば、乾燥肌とかゆみに悩まないで済みそうだ。(柴崎裕加)