仰天人事!楽天の石井一久GM兼任監督は成功するのか?
2018年9月にGMに就任した石井氏は、当初、その手腕を疑問視されながらも、自らの人脈を駆使して編成に力を発揮した。1年目にFAで浅村栄斗を獲得し、新外国人のブラッシュ、ブセニッツが戦力となり、昨年オフには、FAで鈴木大地、トレードで涌井秀章を獲得して、メジャーから牧田和久を凱旋させ、オリックスからロメロを獲得するなど大型補強に成功した。ドラフトでも、佐々木朗希の外れ1位で、小深田大翔(大阪ガス)を指名。賛否が出たが、打率.288、17盗塁と結果を残して新人王候補になっている。 だが、監督となると話は別である。 楽天でも監督を務めた名将の故・野村克也氏は、「監督という職業には、外野手出身、投手出身の人間は向いていない」という話をしていたことがある。 監督経験のない投手出身監督が就任1年目でいきなり優勝した例は、近年では、ソフトバンクの工藤公康監督、西武の現GMの渡辺久信氏らがいるが、戦力は十分に整っていた。今季のヤクルトの高津臣吾監督、広島の佐々岡真司監督の例を見るまでもなく、コーチ経験のある人たちでも、監督業には苦労している。まして石井新監督はコーチ経験もないのである。 果たして石井新監督は成功できるのか。 パリーグの野球に詳しい評論家の池田親興氏は、「この手があったのか、とも、この手しかなかったのか、とも感じた。4位の責任を取らせる形で三木監督を退任させたが、新型コロナの影響もあり、日程的にも、財政的にも外部から監督を連れてくるわけにもいかず、他に選択肢がなかったのだろう。最終手段だったと思う」と、今回の仰天人事を分析した。 「石井氏がGMとして戦力を補強し三木監督が若手を育てたことで攻撃陣は形になっている。あとは投手の整備と試合でのやりくりができれば勝てるとの判断もあって投手出身の石井氏が監督を兼任することになったのかもしれない。今季は逆転負けが多いが、それは、すなわち継投を含め、投手陣がうまく機能しなかったことを示している。日米で、実績を残した石井氏が現場で丁寧に指導すれば、伸び悩んでいた投手が変わっていく可能性もある」 今季のチーム打率.258、チーム得点557はリーグトップ。チーム本塁打数112本も優勝したソフトバンクに続く2位だが、チーム防御率の4.19はブービーの5位。しかも、逆転負けが両リーグでワーストの32試合もあり、1点差負けゲームは15試合あった。立花社長、石井新監督は「弱点をいかに埋めるか」と会見で口を揃えたが、ブルペンの整備、継投、勝負弱さがチームの弱点とするならば、投手出身の石井新監督の起用は、適材なのかもしれない。石井新監督も「守り勝つ野球」の必要性を表明している。 しかし、石井新監督は、監督実績がゼロ。それらは、あくまでも期待値であり、まったく計算のできないもの。むしろ不安点の方が多いのが実情だ。