年々増えるF1のグランプリ開催数……もっと良いモノにするために、必要なこと
■3週連続開催はもはや避けられないのか?
レースを連続して開催することは、移動や輸送という面での負荷を減らす上では確かにメリットだろう。しかし最近では、3週連続開催も定着しつつある。以前は3週連続での開催は避けられてきたが、新型コロナのパンデミック中に緊急措置として3週連続開催が実現した後、今では普通のことになりつつある。 今シーズンも、オースティン、メキシコ、サンパウロの3週連続開催があった後、ラスベガス、カタール、アブダビとふたたび3週連続開催してシーズンが閉幕することになる。 2025年はこれらの3週連続開催は解消されるが、代わりにシーズン前半に日本、バーレーン、サウジアラビアが3連戦として組まれている。 年間24戦を開催するにあたって、3週連続での開催はある程度仕方のないことなのだろうか? 「パンデミック前のカレンダーの規模と比較すると、イベント数は増えているから、混雑してしまうのは当然です」 そうヤング氏は説明する。 「8月にサマーブレイクを確保するなど、チームとの約束もあります。1月にはレースはできないし、シーズンが終わってから次のシーズンが始まるまでに数週間は空けなければいけません。だからそれらを全て考えると、使うことができる週末はかなり限られるということになります」 「(F1のCEOである)ステファノ・ドメニカリと(リバティメディアCEOの)グレッグ・マフェイが、現時点では24戦にすると言っているのを、皆さん読んだことがあると思います。その理由のひとつは、チームの規模に関して、より大きくなってしまうと持続可能な限界に達してしまうと分かっているからです」 「現時点では、F1新興地域からの開催を求める声に対して、レースとファンという両面で、バランスが取れていると考えています」 リバティメディアがF1を所有して以来、彼らはその質を向上させようと努めてきた。この取り組みには反対する声もあるものの、リバティメディアはより広い層にアピールするために、全てのイベント、全ての週末を、エンターテインメント満載のフェスティバルにしたいと考えている。 そのためには、各レースの主催者からの大きな協力が必要不可欠だった。特に伝統を頼りにそのポジションを維持してきたヨーロッパの伝統的なレースは、最近カレンダーに加わったいくつかの派手なイベントに追いつく必要があったのだ。 「(F1の前CEOである)チェイス・キャリーは、いつもこう言っていました。『潮が満ちれば、全ての船が浮かぶ』(経済が改善すれば全ての関係者に利益がもたらされるという意味)と言っていたんです」 そう彼女は言う。 「我々のプロモーターたちは、それを理解してくれています。このスポーツは今本当に好調なので、彼らもうまくやっています。そして、誰もがもっと投資することができます。より大きなスペクタクルを作り上げれば、もっと多くの人が戻ってきたいと思うようになるはずです」 「シンガポールとシルバーストンは、レース以外のアクションを組み込むことができた、素晴らしい例です。サーキットでのプログラムも充実していますが、夜にはコンサートも見ることができます。このことは、プロモーターとの会話の中で最も難しいことではありません。プロモーターは、その市場における最高のマーケティング担当者なんです」