若年層が増加する業種!「チェーンソーがうなる現場」を見にいく
競技会を通じて、若い人材も育成
競技会を通じて、更に若い人材も育ってきている。活躍している人材数名を紹介しよう。まずは山岡空さん(21)。高校時代からチェーンソーに興味を持ち、若くしてこの世界に飛び込んだ。今年は世界伐木チャンピオンシップ(以下WLC)のジュニアクラスに出場して「期待の新星」と言われている。 もう一人が武藤唯さん(25歳)。レディースクラスでアジア人初の銀メダルを獲得した。特にNPO法人ロガーズのメンバーでもある武藤さんはチェーンソーを始めて半年での快挙である。武藤さんは、林業の会社に就職すると同時にチェーンソーの競技会に興味を持ち、今井さんにどうやったら勝てるのか指南を受けに来た。 今井さんは「人に教えてもらわないこと」と答えたそうだ。 その理由を今井さんは「人に教えてもらっている時点で教える人以上の存在にはなれないからだ」と説明した。 今井さんの言葉を受け止めた武藤さんはそれから毎日、業務時間が終わった後に欠かさず練習に取り組むことで半年での表彰台という快挙を成し遂げた。武藤さんから直接コメントはもらえなかったが、この繰り返しの練習は相当ハードなものだったと推察する。 チェーンソー自体はホームセンターなどで安価に販売されており、免許も講習もなく誰でも直ぐに使うことができる。ただ、扱い方を間違えると、「キックバック」といって自分にチェーンソーの刃が襲い掛かってくることがあり、こうした事故は決して少なくない。 今井さんは現在も、自然、林業、後進育成、そして世界との交流と、大きな視点を持って競技会の活動を継続している。今井さんの競技会は技術を磨くだけが目的ではなく、「もっと林業を知って欲しい」という、自然と向き合う林業への思いも込められている。競技会では選手に加えてボランティアスタッフも募集している。 若者が林業を働く先に選んでいる理由は様々だ。単純に自然とのつながりを求めるもの、自然環境を守りたいというもの、新しいビジネスモデルを生み出せる可能性、地域貢献、働き方の自由度など。ただ、いずれも都会で働く私たちとは少し違う感性が若者を惹きつけていることは間違いなさそうだ。
Forbes JAPAN 編集部