JAF公認のeモータースポーツリーグ『UNIZONE』が発足。リアルのトップレーサーとeレーサーらがしのぎを削るフォーマット……2024年より本格始動
国内で唯一、日本自動車連盟(JAF)の公認ライセンスを受けたeモータースポーツリーグ『UNIZONE』が2024年より本格始動する。 【動画】真っ暗闇の中で2.84秒……!? レッドブルF1が驚異のピットストップパフォーマンス コロナ禍を経て、近年より一層広がりを見せているeモータースポーツ界。様々な企業・団体がeモータースポーツに力を入れている昨今だが、2023年5月に発足した一般社団法人 日本eモータースポーツ機構は、eモータースポーツリーグブランド『UNIZONE』を設立。2024年より大会や公式リーグ戦を順次実施し、活動を拡大していく。 『UNIZONE』は、リアルモータースポーツの世界で活躍するプロレーサー(国際B級ライセンス保持者)と、eスポーツのトッププレイヤー、さらに既存に枠にとらわれない“ユニバーサル枠”のドライバー3名がチームを組み、マッチレースやスプリントレース、セミ耐久レースなどを通して競い合うというフォーマット。使用ソフトは『アセットコルサ コンペティツィオーネ』と『iRacing』だ。 公式のリーグ戦は2025年より開始予定であり、2024年はトップ選手が参加してのエキシビションマッチなどを、多くの人が集まる大規模イベントと連携しながら実施していくという。2024年2月25日には早速、群馬県のビエント高崎ビッグキューブにて、スーパーフォーミュラを主催する株式会社日本レースプロモーション(JRP)の特別協賛により『e-Motorsport UNIZONE EX Match Powered by Super Formula』が実施され、エキシビションレースや交流イベントが行なわれる。 12月16日に実施された関係者向けイベントでは、リアルモータースポーツで活躍するトップドライバーの山下健太、大湯都史樹、小山美姫、佐藤蓮、そしてeモータースポーツレーサーの武藤壮太、宮園拓真、佐々木唯人、冨林勇佑が登場。エキシビションレースを実施してリアル、バーチャルのトッププレイヤーらしいハイレベルなバトルを披露し、今後行なわれていくリーグ戦への期待感をうかがわせた。 今後はチーム企業、パートナー企業を募りながら、『UNIZONE』を通してビジネスモデルを構築し、幅広いファン層の獲得を目指していくという。 気になるのは、このUNIZONEが他のeモータースポーツの大会とどう差別化されるのかということだ。現在日本国内を見ても、様々なeモータースポーツの大会が存在しており、その新たな大会がひとつ加わるだけでは、あまりインパクトはないとも言える。 これについて尋ねると、UNIZONEを運営する日本eモータースポーツ機構の出井宏明代表理事はこれについて次のように語った。 「eモータースポーツの市場は、これから作っていくところですから、パイの奪い合いではないと思っています」 そう出井代表理事は語った。 「我々はJAF様から公認をいただいて、唯一のeモータースポーツシリーズとして、しっかりと立ち上げていきます。しかしながら他の競技団体と競争するのではなく、場面場面で協業しながら、eモータースポーツの市場を作っていければいいと思っています」 なお、参加ドライバーたちには順位に応じた賞金が支払われる予定と明言されているが、これがどのくらいの規模になるのかと尋ねると、次のように出井代表理事は説明する。 「気持ちで言えば、100万円や200万円といった規模で出したいと思っています。現時点ではなんとも言えませんが、参加するドライバーの皆さんにしっかりと賞金を出すという志を持って、運営をはじめていきます」 「2025年に本格的な大会を実施する予定ですが、その時には賞金の規模をどのくらいにするのかということもお示しできると思います」 UNIZONEをパートナーとしてサポートするJRPの上野禎久社長も、この取り組みについて次のように語った。 「我々はリアルドライバーの代表として乗り込んでいきます。リアルドライバーとeスポーツのレーサーのバトルが実現できれば、本当に夢のあることだと思います」 そう上野社長は語る。 「他の大会との差別化という点では、競技ライセンスを発給するというところに、非常に我々と親和性があると思っています」 「スーパーフォーミュラに参戦する選手たちに出場して欲しいと思っていますし、UNIZONE自体が、我々のドライバーが出たいと思えるような大会になっていただけるよう、後方支援していきたいと思っています」
戎井健一郎, 田中健一
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