90代母親を亡くした女性が危惧した…「ハワイ移住をした未亡人」の存在
悲しくとも、避けられない親の死……残されたものが考えなければいけないのが相続の問題です。 【マンガ】夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からのお知らせ 相続トラブルを生まないためには、親の生前にしっかりと準備をしておくことが重要です。相続対策のサポートを専門とする会社・夢相続の曽根恵子さんが、2人兄妹の妹であるTさんのケースから、相続に関する疑問を紐解いていきます。 Tさんは中学生の時に父親を亡くしています。兄妹どちらも結婚して実家を出ましたが、母親に資金援助をしてもらって実家の近くに家を建てた兄が、1人暮らしの母の面倒を見る、というのが暗黙の了解でした。しかし、そんな兄が40代で急死をしてしまいます。兄嫁は「姑の面倒を見るつもりはない」と自宅を売り、子どもを連れてハワイへ移住してしまいました。老後はTさんに頼るしかない、と覚悟した母親は財産もすべてTさんに相続させることにして、公正証書遺言を作成しました。 記事前編は「80代母親が老後を託した息子が『急死』…そのとき、息子の嫁がとった『予想外の行動』」からお読みいただけます。
母親が亡くなり、公正証書遺言で相続登記
母親は今年、90代で亡くなりましたが、公正証書遺言を作成されてから10年後のことでした。Tさんから連絡があり、母親が亡くなったので、相続の手続きをしたいと来社されたのでした。 母親の公正証書遺言の内容は、「長女に全財産を相続させる」という内容です。付言事項には「亡長男には自宅購入の際に十分な援助をしているので、このことを理解して遺留分を請求しないように」とも書かれていました。 亡兄の子ども2人はすでに成人していますが、日本に帰るつもりはないようで、兄嫁とともにずっとハワイ暮らしをしています。
財産は相続税の基礎控除以内
母親の財産は自宅1部屋と賃貸物件の2部屋。等価交換で取得していますので、3つとも同じマンション内にあります。時価は1部屋1500万円ほどですが、相続評価は1部屋800万円程で、預金などを合わせても3000万円程度の財産だと確認できました。よって基礎控除4800万円以内となり、相続税はかからず、申告も不要でした。 残るは名義替えです。公正証書遺言により、Tさんがすべての財産を相続するため、公正証書遺言の「正本」を預かり、司法書士への委任をして、相続登記を進めることができました。