自動車メーカーの「認証不正」でも話題となった「JNCAP」って何? 実は「国の基準」と違う? 認証とJNCAPでズレも… 今後の課題とは
最近よく聞く「JNCAP (自動車アセスメント)」って何?
最近、自動車メーカーにおける「認証問題」が度々話題となっています。 そのなかで耳にする機会が増えてきた「JNCAP (自動車アセスメント)」とはどのようなものなのでしょうか。 【画像】「えっ…!」クルマがペチャンコ…! 破損しても安全なクルマを見る!(14枚)
スバルの「クロストレック」と「インプレッサ」が、2023年度JNCAP「自動車安全性能ファイブスター大賞」を受賞しました。 そう聞いても、ピンとこないユーザーもいるでしょう。 これは自動車の安全性に対する高い評価なのですが、ユーザーの間でJNCAP(ジェー・エヌキャップ)についての認識がまだあまり高くないからです。 または、メーカーのホームページや、新車のカタログなどでJNCAPという表記を見たことがあっても、ところで「JNCAPって何?」と聞かれても正確には答えられず、ネットでJNCAPと検索してみても、まだなんとなく理解できない人もいるかもしれません。 JNCAPは、J(日本)におけるニュー・カー・アセスメント・プログラムの略称。 実施するのは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)です。 NASVAによれば、JNCAP(自動車アセスメント)の概要は次の通りです。 「自動車等の安全性能の評価・公表を行うことによって、ユーザーが安全な車選びをしやすいように、そして車を作るメーカーのより安全な車の開発を促進するため」 そう言われると、「JNCAPは国が定めた規制なのか?」とか「安全性に対する基準を再評価するものなのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。 自動車アセスメントは、規制でも基準でもなく、あくまでも第三者機関が自主的に行う評価という点が、ユーザーには少し分かりにくいかもしれません。 自主的であるためにNASVAは、販売台数が多い車両を中心に評価試験の対象車種を選定し、一般向けに販売されている状態の車両を購入するという形をとっています。 つまり、JNCAPは販売されている全ての車を対象に行っている訳ではありません。 今回、試験データが公表されたのはクロストレック・インプレッサ(満点中98%)のほか、総合評価で最高の5つ星は、トヨタ「クラウンクロスオーバー」「クラウンスポーツ」(95%)、マツダ「CX-60」(94%)、ホンダ「ZR-V」(94%)、レクサス「RX」(93%)、日産「セレナ」(93%)、レクサス「NX」(93%)、ホンダ「N-BOX」(91%)、トヨタ「プリウス」(91%)、日産「エクストレイル」(91%)と続きます。 さらに、総合評価4つ星では、レクサス「LBX」(92%)、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」(92%)、スズキ「スイフト」(90%)、スズキ「スペーシア/スペーシアカスタム」(86%)、マツダ「フレアワゴン/フレアワゴンカスタムスタイル」(82%)、そしてダイハツ「タント」、スバル「シフォン」(81%)という結果です。 では、具体的にどのような試験を行っているのでしょうか。 評価されるのは、大きく3つの領域です。 クルマが衝突することを事前に防ぐための「予防安全」、車が衝突した後に乗員保護を行う「衝突安全」、そして事故が発生した際の「事故自動緊急通報装置」の3つとなります。 自動車アセスメントの歴史を辿ると、衝突安全に対する試験が先行し、その後に予防安全が加わったという経緯があります。 2023年度での衝突安全に関する試験項目は、車が真正面から衝突する「フルラップ前面衝突」や、対向車や障害物と少しずれた状態でぶつかる「オフセット前面衝突」、「歩行者頭部保護」など7項目で構成されています。 一方、予防安全では、先進的運転支援システムを用いた「対車」、「対歩行者・昼および夜」、「ペダル踏み間違い時加速抑制」など7項目です。 衝突安全と予防安全のそれぞれで、AからEまで5段階のランクがありますが、衝突安全では試験を行ったモデルではAまたはB、そして予防安全では全モデルがAとなりました。 また、事故自動緊急装置については、先進型を装備していると最高8点となります。 こうした3領域での得点を、最高5つ星で総合評価する仕組みです。 5つ星の中で最も得点が高いモデルが、今回クロストレック・インプレッサが受賞した「ファイブスター大賞」となります。